2005年11月30日
◯2番(井坂信彦君)
まず,決算と業績・成果の測定についてお伺いいたします。
決算書を拝見しておりまして,何か釈然としないような気持ちが残りました。
予算額があり,決算額があり,そして予算の何%を実際に使ったかという執行率が記してあります。
それに対して,どんな事業を平成16年度やりましたということが文章で羅列してあります。
それだけなのであります。
予算を使った事業の成果ということに関してほとんど書かれていないわけです。
民間企業では決算書が非常に重視されています。
なぜなら,民間企業でいうところの成果というものは,直接的にはやはり金銭的利益であり,
決算書を見れば,どれだけの経費を使ってどれだけの利益を上げたのか,
いわゆる費用対効果が決算書にはっきり並べて書かれているからです。
行政経営の難しいところは,一体何が成果であるのか,
そして税金を使って何を高めるべきなのか,
その成果指標からつくり始めなければならないところです。
昔は道路やホールをつくれば,それが成果だと思われていた時代がありました。
あるいは新しい制度や事業を始めれば,それが華々しい成果に思えるときもあります。
しかし,行政の成果とは,市民生活のビジョン,あるべき理想像を定めて,
そこにどれだけ近づくことができたかという物差しではかるものではないでしょうか。
新しい施設や新しい制度はあくまで手段であり,その結果,市民の生活がどう変わったのか,
将来に向けた展望がどれだけ改善したのかが行政の成果ではないでしょうか。
ことし6月に神戸2010ビジョンが策定されました。
市政全般にわたり12分野で目標を掲げ,その目標達成度をはかる物差しとして
合計72のチャレンジ指標が設定されています。
2010年までに公民館を何館整備するという古典的ないわゆる総合計画ではなく,
2010年までに地域活動に参加する市民の割合を35%まで高めるというような
チャレンジ指標による目標設定は,アメリカのオレゴン州政府などが採用した
ベンチマーク方式と呼ばれ,成果志向の行政経営には欠かせないものであると考えます。
そして,大切なのは,ベンチマークを測定することではなく,ベンチマークの
達成度合いに応じて毎年必ず予算配分や人員配置の変更,
そして事業の見直しや廃止を機動的に実行していくことです。
そこで,まず質問いたしますが,本来であれば2010ビジョンの12分野に沿って
12の部局に組織を再編し,その各部局に予算を枠配分するぐらいのダイナミックな改革が
必要だと考えていますが,なかなか今の神戸市役所にそこまでの高望みはできない状態です。
2010ビジョンのチャレンジ指標,そしてベンチマークの達成度合いに応じて
翌年度の予算配分や人員配置,事業採択を行っていくべきだ,
それがどこまで連動していくのかということについて,お伺いいたします。
さらに,12分野72のチャレンジ指標には,それぞれ主に担当する部局をきちんと1つずつ定め,
ベンチマーク達成の責任を1つ1つのチャレンジ指標について明らかにするとともに,
担当部局のベンチマーク成績が,所属長や所属職員の業績と行く行くは連動するような
人事評価システムに変えるべきだと考えますが,いかがでしょうか。
加えて,神戸市のチャレンジ指標は,別名ともに目指そう値となっておりまして,
12分野の目標それぞれに,行政だけではなく市民,地域団体,NPO,大学そして事業者の
役割が文章で定められています。12の目標と72のベンチマークは市民参画がなければ
達成できないという仕組みにつくってあるわけですけれども,
役所内のどの部署が市民や事業者を巻き込む役割を担っていくのでしょうか,
お伺いいたします。
当日のブログはこちら→「役所の“成果”とは何か?」
◯市長(矢田立郎君)
まず,2010ビジョンの関係につきまして,この事業成果というふうな点の引き合いを出されながら,
いろいろと今ご質問をいただきました。その中で,
この2010のビジョンの中で達成度合いの状況というふうなものを今後どのように
機動的にやっていくのかというふうなお尋ねがございましたけれども,
これにつきましては,このビジョンの策定に当たりまして,
新たな仕組みとしてPDCAサイクルによる進行管理を行うというふうにしてございます。
今回のこの2010ビジョンは,常に申し上げておりますように,
計画というふうに位置づけるんではなくて,これをとにかくやり遂げるということが
大切だというふうに言い続けてございます。これをとにかく着実に実行して,
そして各アクションプランに掲げております目標達成状況を常に検証して,
必要があれば見直す,そして新しいアクションを起こすということが
大切だというふうに申し上げております。
そのために,具体的にビジョンにも明記してございますように,各12の
アクションプランに掲げておるこの目標の達成状況につきまして,
毎年度施策レベルでの行政評価を行う成果指標として導入をした
チャレンジ指標72があるわけでございまして,この進捗度を中心に把握するとともに,
アクションプランの目標達成度の主たる要因についての検証また評価の結果を踏まえ,
予算・組織などにおいて適切な対応を図るということで,
それを実行していきたいということでございます。
そして,またこの2010ビジョンの中で12のアクションプランに沿った
組織あるいは人事・予算というお話もございましたけれども,
こういった点についての内容についてでございますけれども,
このビジョンの策定に当たりましては,私を本部長とする新たなビジョン策定本部を
設けましてやってまいりました。その中で,庁内横断的ワーキングチームを
設置しまして策定を進めております。
先ほども申し上げましたように,今後のPDCAサイクルの進行管理,
これにおきます実行・検証・評価ということにつきましては,
アクションプランの策定に携わって,そして各重点事業を所管する
ワーキングチームのメンバーにおいて実施していくことが当然であるというふうに考えております。
ご指摘のアクションプランに沿った組織の再編についてでございますけれども,
時代の変化に即した機能的な組織という方針のもと,ビジョンにおいて
位置づけました重点事業,これが重要でございますけれども,担当部局を明記してございます。
そのようなアクションプランに関係する部局が連携を図りながら,
ビジョン実現に向けて全庁を挙げて取り組んでいくということが重要でございます。
また,予算編成についてでありますけれども,この18年度予算編成方針でも,
これらにつきまして政策重点化枠というふうに位置づけておりまして,
神戸2010ビジョンにおける神戸の将来像の実現に向け,5つの重点テーマに基づく
12のアクションプランを具体化する事業を対象にしておるところであります。
予算編成につきましては,さきに申し上げましたアクションプランごとの関係する
部局が連携をして,そして責任を持ってこの検証・評価の結果を踏まえ,
次年度の政策の展開を議論していくことが大切であると,このように考えてございます。
そしてまた,ともに目指す指標値の点についてのお尋ねがございました。
どの部署が具体的にどうやっていくのかという点でございますけれども,
私はこの2010ビジョンというものは,これからの神戸づくりという点でございますんで,
まさによく申し上げておりますように,民学産そして行政の力が結集をして
時代の変化に対応しながらやっていくことが重要であり,そしてその中で協働と参画の
まちづくりをやっていくんだと,その中から市民の暮らしを守るんだというふうに
申し上げているわけでございます。
そういった認識のもとに,このビジョンを具体的に実行していく12の
アクションプランにおきましても,各主体の主な役割を位置づけるとともに,
重点事業の中にも民学産と行政の協働と参画によって進めていく取り組みを
盛り込んでおるわけでございます。
今後チャレンジ指標の達成をはじめとするビジョンの実行に当たりましても,
参画と協働は重要なテーマになるわけでございます。
このご指摘の共通の仕組みを整えていくための施策をどのように実際
にやっていくのかという点でございますけれども,これを具体的に
実施していくに当たりましては,各部局でそれぞれの施策に最もふさわしい
市民参画の手法を取り入れていくというふうに考えております。
その成果の検証に当たっても,外部委員による検証組織も設置をしまして,
統一的観点から進めてまいりたいということでございます。
いずれにしましても,このチャレンジ指標の達成のために,市民参画の手だてということも
大変重要でございますので,それらの点を意識しながらこれからの取り組みを
進めていくということでございます。
◯2番(井坂信彦君)
2010ビジョンについてなんですけれども,市長がPDCAサイクルを回して,
とにかく随時見直して,今回必ず実行していくんだという,
おっしゃることは非常にもっともだと思うんですけれども,
この間神戸市のいろんな行財政改革の進み方を見てまいりまして,
いろいろ新しい仕組みは随時取り入れながらも,それらがいまひとつ
関連してないのではないかなというふうに思っておったもんですから,
今回この質問を1番目に持ってこさせていただいた次第です。
やっぱり事務事業評価ですとか,あるいは今回のベンチマーク,
それからパブリックコメントや人材育成システム,いろいろ導入はしているんですが,
やはりこれがすべて一体となって連携していくということが本当に大事なことであるという
観点から,今回質問をさせていただいているんです。
マーケティングによってとらえた市民ニーズがビジョンや中期計画に反映されると,
今回の2010ビジョンでそこのつながりがある程度できたのではないかなというふうに
思っておりますが,この中期計画の政策体系に沿って組織が組みかえられて予算が枠配分される。
中期計画の成果はベンチマークで測定されて,達成度についてはやはり部局の責任を明確に持っていく。
その責任が,同時に責任と反対に予算編成や人員配置あるいは事業採択の権限を
各部局に譲るということにつながっていかなければいけないですし,
各部局の業績評価が,先ほど申し上げたような職員の人事評価ときちんと連動して,
給与やボーナスに反映される,あるいは中期計画の達成に必要な能力や
人材があらかじめわかっていて,その不足を補うという目的で外部人材の登用であるとか,
内部人材の能力評価,研修,それから人事異動が計画的に行われていく,
ここまでつながって初めて改革ということになるのかなというふうに思っているわけですが,
1つ1つの取り組みの連動ということについて,もう1歩踏み込んだ市長のお考えを
お聞きしたいというふうに思います。
それから,ベンチマークで,市長,担当部局がちゃんと明記されていると
いうふうにおっしゃったんですが,
これは恐らく事業ごとに明記されているということではないでしょうか。
例えば一番最初の,1ページ目の一番上のベンチマークに,先ほど申し上げた
地域活動に参加する市民を35%にしていくという指標があるわけですけれども,
ではこの指標の達成に責任を持つのはどこなのかと考えたときに,指標と目標の中の事業,
1つのベンチマークに対応する事業が現状複数あって,
それが別にどの事業がどの指標というふうに対応が明らかでない上に,
それぞれの事業の担当部局もばらばらであったり,1つの事業の担当部局が
複数あったりということで,結局じゃあこのベンチマークに責任を
持つのがだれなのかということが私には見えてこなかったので,
その点について質問をさせていただきます。
かつて三重県では,同じような問題が起こったときに,
マトリックス予算というような立て方をして,要は横軸に各部局名,
縦軸にここでいうところの12分野であったり72ベンチマークが並んで,
それぞれどこの部局がどこに責任を持って予算を投入しているかということを縦横の表で,
マトリックスでわかるような予算の立て方をしておりましたので,やはりそこまでせめてしないと,
結果的に言葉は悪いですけれども,無責任体制になりがちじゃないかなという
心配から質問をさせていただいております。
それから,3点目で市民参画のことなんですけれども,
青森県の例で政策マーケティングブックというのを──神戸市よりも
随分早くからベンチマーク方式で取り組んでいる青森県が,
毎年県民向けに政策マーケティングブックというものを配っていて,
それを拝見したことがあるんですが,これは非常によくできているというふうに私は思っております。
ベンチマークごとに現状値と目標値,それから現時点での市民満足が書いてある,
ここまでは恐らく神戸市も今後やっていかれると思うんですけれども,
青森県の場合は,さらにそこに一々市民,事業者などのベンチマークごとの業務役割分担,
その分担率というところまで出してきたり,その分野でそのベンチマークを達成するために
新しく地域で始まった市民活動のCMというか,
こんなことが始まりましたというようなところまでその冊子に書いてある。
それを読めば,行政が単にことしここまで仕事は進みましたという説明責任を果たすそういう
PR資料ではなくて,それを読めば市民が,あっ,これを自分たちもこういうふうに
具体的に気づいて行動を起こして一緒にやっていかなあかんねやなというのがわかるような,
巻き込むためのツールになっているんです。
恐らくそういうことをかなり詰めてやっていかないと,やっぱり
役所任せになってしまうのではないかな。せっかくともに目指そう値という形で
銘打って,実際ともにやらなければ達成できないような指標が多くある中で,
また役所だけが頑張らざるを得ないことになるのかを心配して,
その点についてもう1度質問させていただきます。
◯市長(矢田立郎君)
2010ビジョンの点についてでございますが,これにつきましては先ほど来申し上げましたように,
これをとにかくやり抜いていく,その際に行政のみならずまさに
民学産・行政一体となってやり抜くんだと,
それが協働と参画の神戸の市民のまちづくりではないか,
こういうふうに申し上げておるわけでございまして,そういった方向に向けて取り組んでいく際に,
組織の面あるいは人員の面について,あるいは業績評価について,
これらをもう少し連動をはっきりとさせるべきでないかというお尋ねでございますけれども,
現状の中の組織体制そのものを私は就任しまして以来,相当過去の体制から変化をさせております。
例えば区の体制でございますけれども,この区の体制につきましては,
今までのあり方とは違った,まさに機動的な現場対応の組織に
組みかえてきたというふうにも見ておりますし,
また今後さらにより一層そういった方向をとっていかなければいけないと思っております。
今回つくっております区の中期計画というものが,この2010ビジョンと
同じ時期にあわせてつくられたわけでございますけれども,この中で,
既にごらんいただいたかもわかりませんけれども,役割が明記されております。
これはどういうことかといいますと,あらゆるチャレンジしていく指標に対しまして,
だれがどう取り組むのかということでございまして,
まずまさに地域の皆さん方とそして関係する団体あるいは行政が取り組んでいく部門,
あるいは行政だけが取り組んでいく部門,
そしてまたこれは地域の皆さん方とその地域の団体等で取り組んでいただく事業
というふうな,そういう分け方を実はしてございまして,
これは9区全体に対して少しずつ色合いが違う点がありますけれども,
基本的な概念は貫徹しております。
ただし,区の中の取り組む内容については,区の個性・特性・地域性がございますんで,
これはそれぞれの地域の皆さん方がまちづくり会議で決めていただいた
内容をベースにしながら検討して組み立てたもんでございますから,
内容は均一ではございません。
各区のそれぞれの個性を持ってやっておるということでございます。
そういった点を踏まえまして,私は今回の2010ビジョン,
そして今申し上げました区の中期計画等につきましての取り組みを
進めていかなければというふうに考えておりますんで,
そういった点で先ほどご指摘ありましたような,35%という数字を例に挙げられましたけれども,
しかしそれに向けてまさにPDCAサイクルを回しながら検証してやっていくという中で,
これに対する取り組みを進めていこうというわけでございますから,
これは毎年やるということのほかに,必要があればもっと
早い時期にやるということが必要でございます。というのは,
これは必ず予算を伴っていきますんで,それに対する対応を
どう見ていくかということが重要でございます。
ですから,これは決算という内容の分析ももちろん含んでおりますし,
そして予算の編成という作業にも関連をするわけでございまして,
そういった点でまさにこの業績評価ということが大きな意味を持って,
組織をその中で位置づけ,そしてまたそこに必要な人員を
張りつけていくということにつながっていきますんで,
そういう視点でもってこれを進めていきたい,このように考えております。