住民基本台帳カードのメリットは少ない(総務財政委員会)

2003年08月07日

◯委員(井坂信彦) 
前回,プライバシーのことについて質問させていただいたんですけども,
今度,8月25日から住民基本台帳カードの発行ということで,
またもう少し大もとの議論をさせていただきたいんですが,
そもそもこの8月25日から交付されるカードは,
住民にとって一体どういうメリットがあるのかなと。
それから,神戸市にとってどういうメリットがあるのかということについて,
お聞きしたいと思います。

◯桜井市民参画推進局長 
今回のカードにつきましては,いわゆる容量的には,
この新聞の半紙1枚分ぐらいの情報量が入るというようなカードの
内容になっているわけですね。
それをどういったふうに使うかということについては,
それぞれの市町村で,市民の利便のためにいろんなものに使ってもらったりと,
例えばあるところでは,医療情報を入れることによって緊急時に,
救急時に対応できるとか,そういうようなことの使い方もあるよとか,
いろんな提案はなされておりますけれども,現在のところ神戸市では,
そういう具体的にこういったものに使おうという案を,
今出しているわけではございませんので,
カードそのものは身分証明書としての機能として利用すると,
こういうふうに考えております。
 
そういう意味で,住民の方としては,
例えば,通常,運転免許証を持っておられない方が,
例えばどこかへ行ってその身分を証明しましょうと,
こういうときにはそれが役に立つと。

先般も,私どもの方にこういった事例がございました。
いわゆる高校を中退なさって,そしてアメリカに留学しようと。
アメリカ大使館にビザを取りにいこうとしたら,
その身分を証明する物を持ってこいと言われた,写真つきをと。
免許証も持ってない。
そういったときに,何か証明していただけませんかと,
こういう話を我々の方にメールで問い合わせがあったようなケースがございました。
そういった場合は,その身分証明書があればそういうことも可能になるという意味で,
住民の方でやはりメリットを持たれる方も多数あるんではないかなというふうに思います。
特に免許証のお持ちでない,また高齢者の方も,
身分証明としてお使いいただけるということでございまして,
我々の方は,そういったそのメリットをまず1つは生かしながら,
あとこういったいろんなシステムの進展,
セキュリティーの確保ということがお互い理解でき,
また新しい業務に役立っていけるということが──コストの問題もありますけども──
出てくれば,そのICカードの中にそういったものを組み込んでいくということは
可能だというふうに思っております。

◯委員(井坂信彦) 
今,住民に対してのメリットについては,身分証明書的なメリットがあると。
ちょっと限られたケースかなというふうに私は思いましたけれども,
一方,神戸市,自治体側にとってのメリットというのは何なんですか。


◯桜井市民参画推進局長 
自治体の仕事というのは,住民のメリットのためにやっているわけでございまして,
我々がそのカードで市民の方を管理するということではございませんので,
あくまでも,それを使っていただく住民の方が利便性を享受していただく,
それが,我々自治体の利便性でもある,こういうことでございます。


◯委員(井坂信彦) 
住民基本台帳カードについては,住民にとって身分証明書がわりになる
メリットがあるではないかということなんですけども,
一方,大もとの住民基本台帳ネットワーク,ネットの方について,
住民のメリット,神戸市のメリットについては,どのようにお考えですか。


◯桜井市民参画推進局長 
従来からよくPRもされておりますように, 264事務については,
住民票の発行をせずに市民の方が手続ができるということです。

ですから,パスポートでも,今まででしたら,我々のところに住民票の発行に来て,
住民票を持ってパスポートの申請に行っていた。
だから,それはもう今は要らないわけですね。

そういう意味では,住民の方にとってメリットはあるというふうに思ってます。
それは1つの例ですけれども。
 
ですから,先ほどもお話しましたように,行政のメリットというのは,
そうですね,例えばパスポートの方の申請を受けるところであれば,
従来でしたら,パスポートのときに住民票ついているかどうかいうのは
チェックがもう要らなくなったというようなことはあるかもしれませんが,
我々の方としては,住民の方が利便になれば,それイコール,
行政の方のメリットでもあると,こういうふうに思っています。


◯委員(井坂信彦) 
今,メリットのお話をしていただいたんですけども,
一方で,カードの発行枚数は非常に低く,予算の中でも,
あるいは事前のアンケートでも見積もられていると思うんですけども,
その辺は,やっぱり住民の方も,それから一方,実は神戸市の方も,
そうはいっても,余りメリットが多くないのではないかなというのがあって,
今こういう流れになっているのではないかというふうに私は見えるんですけれども,
その点について,なぜ今回このカード,メリットがあるなら広めないのか,
あるいはなぜ現状,広まりそうもないのかということについて,
1つお聞きしたいのと,
それから本当にメリットがたくさん,幾つかあるんだという中で,
そもそもこれらの住民基本台帳ネットとか住民基本台帳カードというのは,
メリットのあるいいサービスですよと。

皆さんこれを受ける権利がありますよという権利的なものなのか,あるいは,
いやもう皆さん,必ず加入してくださいよと,住基ネットには,少なくとも。
カードの方は,欲しい人はもらってくださいというのですから,
権利的な意味合いだと思うんですけども,住基ネットの方は,
権利的なものなのか,義務的なものなのかについて,
お考えをお聞かせ願いたいと思います。


◯桜井市民参画推進局長 
住民基本台帳ネットワークにつきましては,国の法律で,
住民基本台帳に登録している人はネットワークの方にちゃんと
登録するということになっておりますから,義務であり権利であると,
こういうことでございます。
 
カードにつきましては,我々,例えば 150万人の市民がおられるわけですが,
その方全部にカードをお配りするというような体制というものは,そんな急にはとれません。
そういった意味で,一時的に大量に発生する業務というのは
非常にコストもかかりますので,我々とすれば,徐々にふえていくいうのが
望ましいのではないかなと,そういう考え方を持っております。

そういった中で,今現在,住基カードの中に身分証明書以外のいろんな
サービスを組み込んでいないというのは,
一方で,そういった住基カードの発行をなだらかにしていくという意味と,
それから市民のニーズの変化というものをもう少しやっぱり見ていこうと,
こういうような様相をかんがみて,そういう3万枚というような
発行枚数を想定しておるということでございます。


◯委員(井坂信彦) 
今,限られた情報しか入れていないと。
発行枚数も少ないとこから,なだらかに始めていくとおっしゃいましたけれども,
今後,ニーズを見ながら,あるいはその中に入れていく情報もということに,
私は当然なると思うんですけれども,それで,逆に,私はそうでないと,
はっきり言って住民に対してのメリットというものは,
今後ふえていかないというふうにも思っておりまして,前回もお話しましたけども,
便利にするためにはもっと情報を入れていかなければいけない。

でも,もし義務だと,全員が同じ情報を入れていかなあかんという形になるんだったら,
やっぱり義務で一体どこまで情報を集めていいのかというのは,
私は非常に問題があるというふうに思っておりまして,
コンピューターのセキュリティーの世界でも,もう情報は必ず漏れるものであると。

あってはならないけれども,万に一つやはり情報は漏れるものであるという
前提のもとにコンピューターのセキュリティーは組まれますから,
罰則だけでもちろん犯罪は防げないのと同じように,
セキュリティーが現在こうだから,漏れませんよと
言い切っていいものではないと思うんですね。

そういう現状の中で,前回議論をさせていただいたような
プライバシーという考え方が変わってきていて,プライバシーは,
神戸市とか,国とか,あるいはコンピューター会社とかが
責任を持って守ってくれるというものではなくて,
やはり万に一つ,漏れる可能性があるというのを知っている住民,
利用者側が,じゃあどこまで,万に一つ漏れる可能性の中に
情報をどこまで預けていこうかなというのを選べるのが,
最近のプライバシーの概念であるというふうに私は勉強をしておりますので,
今後,なだらかにニーズを見ながら,取り扱う情報をふやしていくという中で,
一体どこまで,今のような義務として情報を預けてくださいよという形が
通用するのかなというふうに思うわけなんですけれども,
その点について,本当に義務と,法律で台帳はネットに入れるべきだと──
入れなければいけないという法律にあるから,
義務だというふうにおっしゃいましたけれども,
今後そのニーズを見ながら広げていく中でも,もうあくまでこの義務だと。
必ず情報は広げていっても,どんどん中に入れていかなければいけないという
形をお考えですか。


◯桜井市民参画推進局長 
カードそのものについては,その発行をしてほしいという方のみでございますので,
結局そのカードを持った方が便利であるかどうかという判断はその方にお任せになりますね。

その時点で,そのカードの,まさしく今委員のおっしゃったように,
こういった例えば医療情報を入れることによって,ひょっとして自分が倒れたときに,
救急情報がそこで見て治療が受けれるというようなメリットと,
逆にそのことが漏れるということと,そのメリット・デメリットは当然あるわけですから,
それはその方が判断されると。判断されて,あと一歩,そのカードの方のそういう情報を,
きちっと管理する側はその管理する責務を負いますし,こちらの方も,そういう意味では,
そのカードを慎重に取り扱うということの同時に義務も発生するわけですね。

ですから,権利,義務というのは常に表裏一体ですし,
それとそういったまさしくこの社会の進展と同時に,
その情報の流通というものをどの程度までするかという話ですね。
ですから,プライバシーということだけで,個人の情報すべてが
管理できるんだという話になってしまいますと,
例えば,私がもう選挙人名簿に名前載せてくれるなと,
これを言ったら載せるんですかという話なんですね。

そうすると,社会の構図というのは成り立たないという話になってきます。
だから,そういう個人の識別する情報と,それとプライバシーと,
それとプライバシーの部分を自己情報として流通をコントロールするということと,
それぞれをきちっと考え方を整理していかないと,
今は非常に日本の国の中でもそうなんですが,言葉が──
多義的な言葉がひとり歩きしていると。その辺が非常に誤解を生んでいるなというふうに
私は思っています。


◯委員長(向山好一) 
それでは,これより意見決定を行います。
陳情第22号住基ネット及び個人情報保護に関する陳情について,
各会派のご意見を伺いたいと存じます。


◯委員(井坂信彦) 
採択でお願いします。
住民と神戸市のメリットが,私はやはりまだまだ少ないと思っておる中で,
こういう義務的な形,全員参加という形でスタートをしてしまいますと,
将来,実際便利なものにもししていこうとしたときに,
非常に無理が生じてくるのではないかというふうに思っておりますね。

そういう中で,私は個人選択制の導入をやっぱり
検討すべきだというふうに思っております。採択です。

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