悪質劇場!48億円の返還請求を放棄する神戸市
2009年02月22日
久々に「これはひどい!」と思った神戸市のやり方。
神戸市
「外郭団体(市の子会社、いわゆる3セク)に職員を派遣して、人件費分の補助金を出すのは違法じゃないはず!」
神戸地方裁判所
「違法っぽいです。」
大阪高等裁判所
「完全に違法です。神戸市は外郭団体と市長からお金を取り返しなさい。」
神戸市
「違法なはずはない!最高裁判所に上告だ〜!」
法律の専門家
「でも最高裁判所でも、違法判決がほぼ確実に出されると思いますよ・・・」
神戸市
「議会の皆さん、外郭団体と市長からお金を取り返す権利を、あらかじめ全額放棄してくれませんか?」
今はこの段階。以下は神戸市のたくらむ今後の流れ。
議会
「外郭団体と市長は、どうせこんな大金払えないだろうから、神戸市は取り返さなくて良いよ。」
最高裁判所
「違法なお金を取り返す権利が放棄されたなら、裁判をしても意味がないから終了〜。」
神戸市
「違法を認めずに済んだし、外郭団体と市長もお金を返さずに済んで、大勝利〜っ!!」
以下、20日(金)の本会議初日に私が行った質問です。
平成14年4月に施行された「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」。
茅ヶ崎市が商工会議所に市職員を給与付きで派遣して住民に訴えられた事件がきっかけで、
地方公務員の派遣に厳格な手続きを義務付けたもの。
特に派遣職員に市税から給与を支払うことは原則禁止であり、例外的に給与支給する場合は、
派遣法6条2に書かれた条件に合うかどうかの個別精査が必要となった。
ところが当時「公益法人等への職員の派遣等に関する条例」を制定した神戸市は、
議会で「有給派遣はどうするのか?」と問われて、
「派遣法6条2にもとづく有給派遣は例外規定に近いものなので考えていない」と明確に答弁。
その裏で、一般的な補助金の名目で、外郭団体に派遣した職員の人件費相当分を支払い続けていたのだから、
確信犯的な脱法行為と言われても仕方ない経緯ではないか。
しかも神戸市がギリギリ合法だと思ってやったその補助金方式が、
住民団体に違法と指摘され、神戸地裁・大阪高裁でも違法判決を受けた。
これに対して神戸市は最高裁に上告し徹底的に争いながら、
今回の議会には派遣法6条にもとづく派遣に切り替えるような条例改正を提案している。
そこで最初の質問だが、
・なぜ今条例改正をするのか、その理由と動機は?
・これまでの補助金による支給には、納税者にとってどのようなメリットがあったのか?
・またデメリットは本当に何も無かったのか?
次に今回提案された条例の附則5項に書いてある、債権放棄について尋ねる。
神戸市は最高裁に上告して、補助金方式の違法性を認めず、
従って債権も債務も不存在であることを主張している。
最高裁で係争中の今現在、神戸市自身が存在しないと言っている債権を
放棄することに同意を求められても、議会としては合理的な判断ができない。
この点については少なからぬ議員の皆さんも、釈然としない思いをお持ちではないか。
「債権はあるはずがない」と裁判所で言っている神戸市が、議会では「債権を放棄して下さい」と言っている。
この一貫性のない二枚舌的な状況に、我々議員は困惑させられている。
そこで質問だが、
・なぜ最高裁に上告した直後に、あらかじめ債権放棄を条例化しようとするのか?
・債権放棄すると納税者市民にどのようなメリットがあるのか?
・債権放棄という行為そのものはお金を失う話だから、誰がどう見ても実質的な損害をもたらすと思うが?
債権の発生した理由はどうであれ、裁判で確定した債権は、
納税者の税金を預かるべき神戸市が債務者からお金を得る権利である。
それを放棄するということは、どうしても債権回収が出来ないことが明らかになった場合や、
債権放棄のデメリットを上回るメリットが存在する場合に限り許されると考える。
「今回の条例改正および債権放棄が、納税者市民にどのようなメリットとデメリットをもたらすか」
という原点に立ち返って賛否を判断してゆきたい。
副市長の答弁
・裁判で指摘された、単なる手続き上の問題なので、
派遣法6条にもとづく人件費支払いに切り替える条例改正を提案している。
・補助金という名目で人件費相当を税金から支払っていたが、
外郭団体は市民のための公益的な仕事をしていたので、市民に実質的な損害はない。
・債権放棄しなければ、支払いきれない債務を負った外郭団体が機能停止し、
市民のための事業がストップしてしまう恐れがあり、市政が混乱する。
井坂の再質問
派遣法に照らしても内容上問題のない人件費支給であったなら、
なぜ派遣法に沿って堂々と人件費として支出しなかったのか?
判決は「同じ内容の給与を派遣法6条に沿って支給していたら全て合法だった」などとは言っていない。
神戸市長は今回の違法判決についてどのような責任を認識しているか?
神戸市は外郭団体に対して、払ってはいけない違法な補助金を支払っていたという自覚があるか?
ないのなら、最高裁で正当な主張をして、判決確定まで待てばいいではないか。
債権放棄のデメリットは、「補助金方式が市民に実質的な損害を与えていない」という話とは全く別の次元の話。
これまで補助金方式で与えた損害ではなく、これから債権放棄で与える損害について尋ねている。
だいたい、「実質的な損害はない」などと平気で言うが、
市の損害の有無を判断するのは市役所ではなく司法ではないか。
「明らかに損害があるので外郭団体と市長に損害賠償請求せよ」というのが、司法の結論ではないのか。
裁判で全否定された市側の勝手な言い分を、議会やマスコミに言うべきではない。
“転ばぬ先の杖”というような発想なら、この債権放棄は重大な問題を含んでいるので、
条例の附則提案で済むようなレベルの話ではない。
市民が裁判で獲得した市民の債権つまりお金を、市民の信託を受けて適切に運用すべき神戸市が、
債権回収が困難など特別な理由もないまま予め全額を放棄することは、
善良な管理者の義務を放棄した、信義則上も許されない行為だと考える。
これは単なる民法上の債権ではなく、
地方自治法に定められた住民監査請求・住民訴訟の過程で生じた債権。
地方自治制度を事実上無意味にしてしまう恐れをはらむ、
重大な債権放棄だということの自覚が足りないのではないか。
仮に最終的には損害賠償請求権を放棄せざるを得ないと考える人がいるとしても、
まずは最高裁できちんと持論を主張して、最高裁で負けたら確定判決に従って損害賠償請求権を行使し、
先方が60日以内に払えなかったときに始めて、どこまで請求権を放棄するかを議論すべき。
あらかじめ債権放棄するなら、違法な支出であったと自ら認めていることにならないか?
副市長の再答弁
・地裁と高裁の判決には納得が行かないので、最高裁に上告している。
・同時に混乱を避けるため、条例改正と債権放棄を提案している。
井坂の最終発言
内心は違法だったと気付いているので、条例改正はする。
違法性は認めたくないので最高裁に上告して争うふりをする。
本当に争ったら敗訴の可能性が高いので、債権確定前からあらかじめ債権放棄をすることで、
最高裁の判決が出ないようにする。
そうすることで市長と外郭団体は賠償金をまぬがれる。
納税者不在の、まさに組織防衛、個人防衛のために脱法行為をしようとする議案。
こんな法令遵守・コンプライアンス意識に欠ける議案を、
コンプライアンス条例などと偉そうに議員の活動を縛っている神戸市が、
平然と議会に提案してくることが信じられない。
市長が48億円を支払えるとは誰も思っていないが、
このように卑怯な議案を出して来られると、情状酌量の余地も無くなる。
市長には組織の長の責任を自覚して、正面からこの問題に向き合ってほしい。
引き続き委員会で議論する。
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コメント
- 藤本 要
2009年03月19日 12:43債権放棄の条例を提案した神戸市の代表は形式上副市長のようですが、債務者である市長と副市長との出来レースであり、これは市民を馬鹿にしたマンガですね。この条例に賛成した議員に対して、住民訴訟の道は無いのでしょうか?
- うしお
2009年05月26日 02:49率直に、憤りと情けなさを感じました。
神戸という街は、私にとって生まれ故郷であり、21年間離れることなく過ごしてきた大好きな場所で、私は神戸で生まれ育ったことを誇りにすら感じています。
しかし、その神戸市を動かしている議会で、こんなふざけた茶番が行われているとは思ってもみず、怒りを覚えました。
前市長親子の不正から何年も経っていない中で、新たな市長さえも正義を全うできないという現実を目の当たりにすると、情けなさを感じました。正しくないことをしていると中学生でも理解できそうなことを、頭のいい人がよってたかって頑張っているのかと思うと、何とも言いきれない残念な思いがします。
でも、この事実をテレビのニュースで知らされるのではなく、井坂さんのブログで知れたこと、神戸市議会議員が敢然と不正に立ち向かっているということ、また、裁判所で正しいことが正しいと認められていたということが、せめてもの救いになりました。井坂さんのような議員さんや市役所員が増えれば正しい政治が遂行されると思いました。
応援しています!!体に気をつけて頑張ってください。
- U.G
2009年08月28日 08:56この件には強い憤りを覚えます。不思議なことにメディアも無関心を装っているようなので、なんとか神戸市民に広く知らせるることができればと思います。市民が知り得たとして大多数が「これでいいのだ」という結果になれば、それはそれでよいと思います。
最近、メディアを通して地方自治体の内情が僅かながら垣間見られるようになりました。そこには議員と職員の完全な慣れ合いが浮き彫りになっています。勇んで当選した首長の意気込みは完全に剥ぎ取られ、丸裸の王様になっています。神戸市も例外ではありません。
余談ですが、現市長は記者会見で「安心で元気な神戸を作るため、行財政改革をやり遂げたい」と話し、次の市長選への立候補を表明したようです。これといった実績が見えないし、これまでの反省もみられないようなので、早々に引退してほしいと思います。政治は老人の時間つぶしでやってほしくありません。特権と重責を持っている首長は、一般の労働者以上に頭脳と身体をフル稼働させ、信念に命を賭けるべきです。
神戸は大好きでも行政には不快な疑問だらけです。爽快な神戸にするために井坂氏に期待します。応援しています。