神戸市は何のために闘うのか?
2007年03月01日
本日の保健福祉局予算委員会では、3つ用意していた質問項目を全てキャンセルして、
公立保育所の民営化問題これ一本に絞って延々と質疑をしました。
前日の水道局では、水道メーター検針の民営化に引継ぎ期間を6ヶ月とることが答弁されたばかり。
「保育園児の引継ぎは3ヶ月で充分だ」と、裁判所の決定に即時抗告する神戸市は、
住民のためではなく、自らのプライドのためだけに闘っているのでしょうか?
以下、本日の質疑メモです。
井坂:
昨日は水道局の予算委員会があった。
一ヶ月に水をどれだけ使ったか、各家庭にある水道メーターを見に来る
水道メーター検針という仕事が民営化されるという説明があった。
民主党の議員が「民間企業は本当にミスなく仕事ができるのか?」と質問すると、
水道局は「ミスがあってはならない仕事なので、6ヶ月間の引継ぎ期間を確保している」と答えた。
水道メーターを見るのと子どもを見るのと、どちらが難しい仕事か?慣れるのに時間のかかる仕事か?
水道メーター検針の引継ぎに6ヶ月必要だとするならば、保育所の引継ぎには何年必要になるのか?
もちろん単純比較はできないが、あまりにもギャップを感じる、笑えない話だったので感想を聞きたい。
神戸市は一体、誰のために闘っているのか?
「引継ぎは3ヶ月で行けるはずだ」という自分たちの理論の正しさを証明するために闘っているのか?
「住民の意見に従うのは負けたようで悔しい」という公務員としてのプライドのために闘っているのか?
なぜ頑なに3ヶ月の引継ぎにこだわるのか?
裁判所が「引継ぎを最低6ヶ月に伸ばしたらどないや」と出してくれた和解案を、なぜ蹴ったのか?
100歩譲って理論的・科学的には3ヶ月の引継ぎで可能だとしても、なぜ6ヶ月や1年ではいけないのか?
引継ぎ期間が伸びると「神戸っ子すこやかプラン21」にそれほど重大な、取り返しのつかない影響を与えるのか?
私は2人の子どもを民間保育所に預けている。
市からの補助金を受けられない無認可保育所。
0歳児から6歳児までが同じ部屋にぎゅうぎゅう詰めになっていて、園庭もない。
市の税金が一切投入されていないので、私が払う保育料は非常に高い。
それなのに、市の税金が一切投入されていないので、
先生たちの給料は恐らく公立保育所の先生の3分の1か4分の1だと思う。
しかし、その保育所に私が行くと、子ども達が全員ワ~ッと玄関まで集まって来る。
口々に「おっちゃん、誰のパパ?」とか「あのな、私な、折り紙折れんねん」などと話しかけてきたり触ってきたりする。
人懐こいというのを超えて好奇心の塊、ベトナムかインドネシアの目をキラキラさせた子ども達のようなイメージ。
もっと子どもが行儀良い保育所や、施設が豪華な保育所、保育料が安い保育所はいくらでもあるが、
私は間もなく生まれる3人目の子どもも、この無認可保育所に預けようと思っている。
この保育所が公立保育所に変わるなどという話がもしあれば、私は保育所公営化反対の運動をすると思う。
それは、アジアの発展途上国の子ども達みたいな育ち方をする、この保育所の保育文化に魅力を感じているから。
こういうものは、わずか3ヶ月の引継ぎで継承できるとは到底思えない。
1年間の引継ぎでも継承できるかどうか分からない。
5年かけても継承できないかも知れない。
神戸市は保育文化の継承について、どう考えているのか?
3ヶ月で保育文化は継承できると考えているのか、保育文化など継承できなくても良いと考えているのか、
そもそも公立保育所に保育文化など無いと考えているのか、そのいずれかしか答えはないと思うがどうか?
神戸市:
公立保育所は画一的な保育を行っており、あまり個性がないことが多い。
行事やスケジュールなどは引き継ぐが、保育文化は新しい民間保育所がつくっていくべきだと考える。
井坂:
なぜ3ヶ月の引継ぎにこだわるのか?6ヶ月や1年では具体的になぜいけないのか?
誰のために即時抗告して闘おうとしているのか?
神戸市:
3ヶ月で十分できるし、引継ぎ期間が長すぎると逆に色々問題が出てくる。
公立の保育士が民営化された保育所に長く残っていると、子ども達はいつまで経っても新しい民間の先生に懐かない。
公立と民間の先生が長い間一緒の職場にいると、お互いに仕事がやりにくい。
我々は住民と闘っているのではなく、住民に理解を求めている。
3ヶ月で十分だと考えているので、6ヶ月とか1年と言われても困る。
井坂:
「公立保育士が長く残ると・・・」と言うが、民営化後に公立保育士が残るのではなく、
民営化の1年前から民間保育士が公立保育所に入るべき。
「公立と民間の保育士が一緒の職場にいると仕事がやりにくい」と言うが、
枝吉保育所の公立保育士も、移管先の民間保育士も、引継ぎ期間を長くするように神戸市に要請している。
「引継ぎ期間が長すぎると問題が出てくる」という今の答弁は間違っている。
文化の継承は簡単なことではない。
それでも、少しでも文化を継承しようという努力を見せるかどうかが大切ではないか?
こういう真剣な姿勢が見えないところが、保護者との信頼関係を損なっている理由ではないか?
一昨日の民営化仮差し止め決定が出てすぐ、文書を取り寄せて何度も読み返した。
内容は他都市の保育所民営化裁判の判決とほぼ同じ。
保護者には児童福祉法24条に定められた保育所選択権があるというのが大前提。
しかし、それがあるからと言って役所が保育所を民営化できないとまでは言えない、これが二段目。
しかししかし、民営化は役所の裁量の範囲内とは言え、保育所選択権の侵害を児童や保護者に我慢してもらうためには、
彼らの損害を出来る限り少なくするため十分な手当てをすること、これが三段目。
同じ判決文を読んでも、読む人によってそれぞれ解釈が異なるのだが、
横浜市の判決にしても「保護者の意見を全く聞かない強引な民営化は違法」としているのであって、
「民営化という政策そのものが違法」というのとは全く違う。
「時速100キロを超える自動車運転は違法」と書いてあるのを「自動車を運転したら違法」と読み違えているのと似ている。
仮差し止め決定の文書を一言でまとめるならば、「民営化は仕方ないけれど、引継ぎ期間が短すぎるのでダメ!」ということ。
特に、3月26日からわずか5日間の引継ぎで4月1日の民営化を迎えるのは無茶苦茶だと断言している。
4月1日で枝吉保育所を民営化するという元々の計画では、
4月1日以降に枝吉保育所内で起こった事故の一時的な管理責任を負うのは誰か?
移管先の民間法人ということで間違いないか?
その場合、3月26日からわずか5日間の引継ぎで、移管先の民間法人が
4月1日以降の管理責任を負えるような責任能力を身に付けることが本当に可能だと考えていたのかどうか?
神戸市:
運営主体は4月1日から民間法人に変わるが、神戸市がその後の運営に責任を持たないというわけではない。
民間保育士が4月1日から保育をリードできるわけがなく、
民営化後も公立保育士が責任を持って保育内容を民間保育士に教えてゆく。
井坂:
神戸市が4月1日以降も責任を持つのは当たり前のこと。
実態として公立保育士が保育をリードしなければならないということは、
4月1日以降の法的な一次的な責任を民間法人が持つだけの責任能力など、
5日間の引き継ぎで得られるわけがないということ。
一昨日の仮差し止め文書を見ても、
「民営化は保育所を新しく設立するのと似たようなものだから引継ぎを重視する必要はない」とか、
「民営化しなくても保育士の人事異動や、保護者の引越しなどで同じような環境変化は起こりうる」とか、
まさか神戸市保健福祉局がこのような見解を持つはずがないと思うようなことが書かれている。
神戸市保健福祉局は、本当にこのようなことを思っているのか?
「3ヶ月の引継ぎが科学的に正しいかどうか」を保護者と神戸市で争って、誰にどのような利益があるか?
大切なのは、それが正しいかどうかではなく、その条件で納得してもらえるかどうか、ではないか?
神戸市:
納得してもらえるように説明を続けてきたし、
昨年の反省も踏まえて3ヶ月という期間は同じでも、中身の濃さや引継ぎ予算などは進化させている。
井坂:
拳を振り上げるよりも、挙げた拳を下ろすほうが勇気のいる政治の世界。
今回の仮差し止め決定は役所にとっては非常に悔しい決定だと思うが、
これを良いきっかけと受け止めて、誰にとっても利益のない即時抗告などやめて、
保護者と一緒に引継ぎプログラムを考え直してほしい。
カテゴリー:
テーマ:
関連記事 :
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL
http://nada-kobe.com/mt/mt-tb.cgi/1933
コメント
- 枝吉保護者
2007年03月25日 22:39本日、予算特別委員会の傍聴をさせていただきました。
貴重なお時間を、すべて 枝吉保育所の民営化の質疑に使っていただき、
本当に感謝しています。ありがとうございました。井坂議員は、本当にわかりやすく、魅力的に
私たちの代弁をして下さいました。井坂議員のおっしゃった、
「子供の通う 無認可保育所が公立に移管されるとしたら
反対運動をします!!」
まさに、それなんです!!私立が悪いから反対してるんじゃない。
たとえ、公立から公立への移管にしても、(ありえないけど)
子供の環境が激変する事には変わりないのですから!!私たちの子供が 水道メーター以下に扱われないように
笑顔で4月が迎えられるように願っています(^^)ありがとうございました。