メガ・ウォーター「阪神水道」

2007年02月28日

水道局予算委員会の冒頭、下記のようなおとぎ話から入りました。

2014年4月1日、東京証券取引所の電光掲示板に、 その企業の名前が映し出されると、場に軽いどよめきが起こった。 直接サービス提供顧客数250万人、年間売上高700億円、保有総資産3300億円 関西電力、大阪ガスに続く第3の巨大インフラ企業、その名も「阪神水道」。

前身となる阪神水道企業団は、1936年に神戸市・芦屋市・西宮市・尼崎市の
阪神間4市が共同で設立した一部事務組合で、
ダムを開発し、琵琶湖・淀川から神戸市まで水を引くという一大プロジェクトを成し遂げた後、
末端給水を担う阪神間4市の水道局と順次経営統合し、この度晴れて株式上場となったのである。

新しく阪神水道の役員に就任した、元神戸市水道局幹部職員はこう語る。
「我々の前身である神戸市水道局は、神戸市役所の中でも率先して
経営改善や時代に合わせた事業の見直しを行ってきた。
身分は神戸市職員から阪神水道社員に変わるが、
より一層、顧客のニーズにきめ細かく応える攻めの経営を行ってゆきたい」

「メガ・バンク」ならぬ、日本初の「メガ・ウォーター」。
この巨大企業の動向に、いま日本中の注目が集まっている。

これはお伽噺ではあるが、根も葉もない話ではない。
2005年秋に内閣府が行ったヒアリング調査に対する、
神戸市水道局と阪神水道企業団の回答文書がここにある。
「広域化・統合化に対する考え方」という問いに対し、
神戸市の担当者は「必要であると考えている」と端的に答えている。
「広域化・統合化を検討しているか?」という問いには、「あり」と二文字で答えている。

この回答文書によれば、すでに実務レベルの具体的な検討やコスト削減効果の試算が始まっているようだが、
あまり議会では議論になっていないし、水道局の幹部職員の方にあらかじめお聞きしたときも、
「そんなのありましたか?」という反応だった。

そこで質問だが、神戸市水道局および阪神水道企業団の内部で、
事業の広域化・統合化についてどの程度検討が進んでいるのか?


(神戸市の答弁要旨)

国のヒアリングに対してそのように答えているのは事実。
阪神間4市で事業の統合化についての勉強会を始めており、
神戸市が他市の水質検査業務を請け負うなどの取り組みも始まっている。


(井坂の再質問)

関西電力や大阪ガスを考えてみれば分かるが、
例えば関西電力が発電所から変電所までしか取り扱っていなくて、
そこから各家庭までの電線・電柱は関西電力と全く別組織の
神戸電力が運営していたら、やはりおかしい。
大阪ガスはガスを作るだけで、ガス管やガスメーターの維持管理は別組織の
神戸ガスが行っていたら、やはり効率が悪い。

神戸市水道局が一所懸命に組織内を効率化してコスト削減しているのに、
阪神水道企業団が水の値段を上げてしまい、住民の水道料金が結局下がらないというのは切ない話。
供給元事業者である阪神水道企業団と、末端給水事業者である神戸市水道局は、
やはり経営統合を目指すべきだと考える。
また、尼崎市がすでに水質検査業務の一部を神戸市に委託しているように、
阪神間4市の末端給水事業も統合・広域化すべきだと考える。

事務委託、管理の一体化、施設の共同使用、経営・財務の統合など、
一口に統合と言ってもさまざまな深さ・段階がある。
阪神間4市および阪神水道企業団の間には水道料金の違いや、
経営状態のばらつきや、保有している水利権の多い少ないがあり、課題も少なくない。
それでも「統合」という方向に向かって具体的な行動を起こしてゆく考えがあるかどうか?


(神戸市の再答弁要旨)

ご指摘のように課題は多いが、それらをどうクリアするのか、
そして統合化すればどのようなメリットがあるのかを4市で研究しているところだ。


(井坂の再々質問)

内閣府ヒアリングに対し、神戸市担当者はこのように答えている。
「兵庫県が介在していないため、自治体と阪神水道企業団で今後の展開について自主調整を図っていく必要がある。
 どこかがリーダーシップをとらなければいけない。」
阪神水道企業団も4市も皆が「統合化は必要だ」と言っている。
課題もすでに明らかになっており、それを乗り越えるリーダーが求められている。
これは神戸市水道局長の仕事ではないか?


(神戸市の再々答弁要旨)

強引に行動するだけでなく、
勉強会という場をつくって全体をその気にさせるのも
リーダーシップのひとつの形だと思っている。

2、水道事業の節水型経営目標について


(井坂の質問)

水道局にとっては悩ましい時代になった。
世の中は環境意識の高まりとコスト削減で節水するのが当たり前。
給水戸数は増えているのに給水量は減り続けている。
今後、神戸市の人口が減少を始めれば、給水量の減少は加速度的に早まることが予想される。

水道局は当然、組織内部のコスト削減を進め、節水型の世の中に必死で対応しようとしているが、
本音で言えば、水をじゃんじゃん使ってもらったほうが経営的にはありがたいのも事実。
「水を大切に使いましょう」と啓発しながら、水をたくさん使ってくれたほうが儲かるとも考えている。
でも給水量は減る一方なので、それにあわせて事業規模も現実的には縮小している。
このダブルスタンダード、本音と建前の乖離は、今後さらに広まっていくことになる。

問題はたったひとつ。
「水をたくさん使ってもらったほうが助かる」という経営体質から、
「水を節約してくれなければ困る」という経営体質に変えなければいけない。
現状は市民と水道局で望む方向が180度異なっているが、
そのベクトルを「節水」の方向に揃えて、両者で強力に推し進めていく。
時代の後追いで嫌々ながら事業規模を縮小するのではなく、
計画的にスリム化を進めて、それに合わせて節水を市民に呼びかけてゆく。

水道局の経営目標を「潤沢な水の供給」から、「節水社会の実現」に変えてはどうか?


(神戸市の答弁要旨)

ダブルスタンダードなどではなく、水道局も節水を市民に訴えている。
「水を無駄に使って良い」などとは考えた事もない。
必要な水を必要なだけ供給するのが水道局の使命だと思っている。


(井坂の再質問)

一日平均配水量を確保している水源量で割った「水源利用率」は6割を下回り、
浄水場も43%の能力を余らせている。
100歩譲って水源確保は渇水のときのために日ごろは過剰に確保しておかなければいけないとしても、
施設の能力が余っているのはどう正当化するのか?
能力を持て余している各種施設の今後のスリム化について聞きたい。


(神戸市の再答弁要旨)

水源ごとに浄水場が付随しており、浄水場だけ統合したり廃止したりするのは難しい。


(井坂の要望)

率先して事業規模を縮小し、過剰な施設を整理し、市民に節水を呼びかけ、
浮いたお金を「水道料金値下げ」という形で市民の目に見える形で還元することができたら、
それも一つの公共サービスの姿ではないかと考える。
この件については今後も引き続き議論をしてゆきたい。

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コメント

  1. ぶたまん
    2007年09月18日 18:31

    はじめまして、なかなか面白く読ませていただきました。

    僕の意見としましては、合併に関しては賛成ですが、スリム化には、反対です。

    水源の利用率や施設の稼動率は、低いと思いますが、それは、阪神間に限って供給しているからで、日本国内でもすぐ水不足になる県や市が多いですし世界的にみれば日本は、たいへん水に恵まれています。

    たとえば神戸市がペットポトルや大きなタンカーにでも水を中国やサウジアラビアに輸出できるようにすれば、稼働率や利用率も高くなり利益もあがりひいては水道料金の値下げができるのではないでしょうか?

    よろしければ、僕にもホームページとブログがあります。

    なにわの遊び人ぶたまんで検索してもらえればわかります。







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