アスベストと自治体行政
2006年07月31日
尼崎にて、アスベストと自治体行政についての勉強会。
疫学調査では特定の企業が原因であることは明らかですが、国が公害として認めないために、
企業が「見舞金」として補償金なみの高額を被害者にしはらっているそうです。
必要以上に恐れることなく、リスクの大きさを冷静に見極め、
将来被害者となり得る住民も含めてリスクの最小化に智恵を絞る「リスクコミュニケーション」が大切とのこと。
以下、私のメモです。
060731アスベストと自治体行政
●尼崎の現状報告
クボタ見舞金・弔慰金を申請した死亡者は2006年6月現在で男性56名、女性43名
労災と言われながら多くの女性が含まれており、環境影響の大きさを感じさせる
2004年度から死亡者数が年間16名と倍増した
一般的に、肺がん患者は中皮腫患者の2倍いると言われている
石綿と肺がんの関係性について、尼崎で調査を行えば明らかになるかも知れない
これからは各種建物の解体が全国的な課題となってくる
解体の際に危険性を目視し、役所に届けられるようなNPOをつくりたい
クボタが因果関係を認めると救済金が「補償金」となり、国の給付が受けられなくなる
クボタは「因果関係にとらわれず社会的責任として救済金を支払う」としている
補償金と国の給付が同時に受けられない制度自体がおかしい
●斑鳩の現状報告
斑鳩のニチアス・竜田工業は住民に謝罪も話し合いもなく救済金を発表した
クボタの半額程度であり、企業姿勢・企業体力の格差が問題となっている
健康診断は半径400mと言いながら、4つの自治会に限定してしまっている
同じような居住歴を持つ周辺住民に健康診断を広げるよう、行政に働きかけている
企業城下町にあって企業に反旗を翻すのは簡単ではない
●泉南の現状報告
石綿工場では地方からの労働者が主に働いており、彼らは被害者と言える
労働者や取引先に聞き取りをしても、「私が話すと上に迷惑をかける」と口をつぐむ
泉南市議会では市長が「聞き取り調査を進めてゆく」と答弁をした
健診は最低年2回必要であり、尼崎市はそのために月数回の健診日を設けている
大阪府は「国が健診は年1回でよいと言っているので、これ以上増やせない」
●クボタ周辺の疫学調査
大阪府立公衆衛生研究所のホームページから報告書がダウンロードできる
石綿には白(クリソタイル)、青(クロシドライト)、茶(アモサイト)
アンソフィライト、アクチノライト、トレモライトの6種類ある
アスベストは0.1μ程度の粒子なので、風に舞いやすく最も沈降が遅い
クボタは1954年から1976年まで石綿管を生産していた
旧神埼工場の石綿管部門で1年以上勤務していたのは延べ626人
暴露には職業性・傍職業性(夫の作業着を洗う妻など)・近隣性の3種類がある
面接で本人や家族の職歴・居住歴を聞き取り調査した
99人の分析対象のうち、工場内で60名、隣接地で26人が中皮腫患者だった
工場から300m以内の中皮腫死亡者は、男性が通常の11.7~17.8倍、女性が23.1~54.1倍
距離が遠くなると死亡率が日本人平均に近付くことから、クボタの影響が疑われる
北東の風が多いため、南西地域に患者が偏り、南隣のヤンマーでは13人も発症している
アスベスト濃度が増加すると、日本人平均と比べた死亡率も比例して大きくなる
日本産業衛生学会の評価値0.03f/ml(1000人に1人が死亡する値)
南隣のヤンマーではその100倍の3f/mlだったと予想される
1000人に1人しか発症しないとも言えるので、必要以上に恐れず冷静に対処すべき
肺がんのリスクを上げるタバコは吸わない
健康診断を定期的に受信する
自分や家族の居住歴・職歴を文書で残しておく
●尼崎における被害者救済の課題
6月30日に相談窓口をつくり、埋もれているニーズや課題を引き出すことに努めた
Q&A集も作成し、これが全国に配られることとなった
健康診断も8月から開始したが、国の補助は当初から期待していなかった
疫学調査は手間がかかりすぎてタイムリーに実施できない
ひとり親方は労災扱いしてもらえないので、環境曝露とするしかない
被害者の大半は市外に転居してしまっているので、市が見つけ出すことは難しい
●尼崎における建築物解体の飛散防止対策
2019年が石綿を含む建築物解体のピークと言われている
解体時は全体をシートで覆って、空気が外に漏れないよう全体に負の圧力をかける
一昨年は解体届けが0件だったが、昨年は事件後に100件を超える届けがあった
固定資産税台帳から建築年と構造を抜き出してデータベース化(370万円)
建築指導かと公害対策課が連携することで、無届け解体を予防している
2006年5月から12月まで、調査費と除去費の1/3を補助しているが、まだ申し込みがない
アスベストの処理は全国15ヶ所の施設で溶融処理して埋め立てる
●アスベスト被害の補償問題
男女別の中皮腫死亡者は未だにどこの役所に問い合わせても教えてもらえない
兵庫県は統計を発表しておらず、奈良県も統計を長らく出し渋った
人口動態調査の目的外使用を防ぐため、総務省と厚生労働省がなかなか許可しない
中皮腫患者の多い地域は、自発的に追跡調査を始めてほしい
調査は早期治療のためではなく、環境影響の実態を把握するため
肺がんの認定基準は厳しいので、石綿が出てくるか調べてから申請する
胸膜プラークは病気でないと言われるが、石綿に特有の症状であり認めるべき
●被害拡大防止策
子どもにストローで息をさせて「被害者の呼吸はこれぐらい苦しい」と説明する
災害時には救助活動などで高濃度のアスベストを吸ってしまう
いつどこでどれだけ曝露したのか、将来的に補償を受ける際に詳細な記録が必要
公共施設を皮切りに、事前にアスベストをどれだけ除去できるかが大切
教室や公会堂の天井には吹きつけアスベストが使われていることが多い
練馬区教育委員会は各校のどの部屋にアスベストが使われているか地図を配った
1987年に文部省が調査したが、1976年以降や廊下・給食室が調査対象にならなかった
「トムレックス・ブロベスト・コーベックス以外は石綿でない」と指導していた
2005年の文部省一斉調査も、誰がどのような基準で安全性を判断したのか不明
この夏も、にわか業者がずさんな除去作業をして、児童に後片付けをさせる可能性あり
被害者になり得る市民も交えてリスクを最小化する「リスクコミュニケーション」
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コメント
- ZEN
2006年08月10日 09:02市営住宅のアスベスト対策はどんなものでしょうかね?
今月の初めに市営住宅の応募しました、私として当選出来るかは解りませんが・・・・