汚職を超えて ~“市民派”議員の生きる道~

2006年07月22日

関西のいわゆる“市民派”議員が集まる勉強会の会報に、神戸の汚職事件についての論文が掲載されます。
(私は自分自身を“市民派”と呼ぶことはありませんが・・・)
事件の経過や問題点などよりも、他都市の議会で同じような事件が起こったときに、
少しでも神戸の経験を活かしてもらいたいと考え、どちらかと言うと反省文のような形になっています。

以下、掲載予定の論文です。

まえがき

前回の会報にも掲載していただきました、神戸市会の汚職事件。
議会と裁判所でその全容解明が今も進められています。
本件の事実経過はマスコミ報道などをご参照いただくとして、私たちがこの度の事件を通して痛感したこと、
市民の批判にさらされながら文字通り「痛い思いをして」学んだ3つのことを皆様と共有し、
将来に向けた奇貨としていただければ幸いです。


市民派議員こそ、利権に詳しく

まず痛感したことが「自分は利権のやり方を全く知らなかった」ということです。
もちろん私たちは利権など決してやってはいけない類の議員ではありますが、
「利権をやらない=利権を知らない」では仕事になりません。
神戸汚職では与党の一部議員が疑惑追及の側に回っていますが、
汚職の構造や業界の裏事情など、我々とは異なる情報を持っていて非常に参考になります。
私たちも日ごろから、産廃業界や建設業界など、
“市民派”議員と縁の少ない業界に詳しい支持者を、意識して作っておくべきだと感じました。

また、他都市で汚職事件があったときは、そのお金の流れやカラクリ・隠れ蓑を学び、
自分の所でも同じ構造がないかどうか確認する必要があります。
神戸汚職の場合は、審議会のお墨付き・同業組合による受注・要綱改正によるルール変更などがそれに当たりますが、
汚職をカモフラージュする仕組みをひとつでも多く知っていれば、「怪しい」と鼻が利くようになるのではないでしょうか?


タブーなき改革が、汚職の芽を摘む

次に、「自分たちより先に汚職議員が役所の弱点を嗅ぎつけてしまった」という反省があります。
神戸では、議会もマスコミも「汚職議員は悪人だ=従来の“良い仕組み”を私利私欲のために“悪い仕組み”に変えさせた」
というステレオタイプな構図から抜け出せていませんが、
実態を素直に見れば、従来の仕組みにも相当の問題があったと言わざるを得ません。

例えば、リサイクルセンターの運営方式を民間委託に変更させて意中の業者に受注させた件では、
もともとの運営方式の管理運営費が異様に高く設定されており、
市職員の天下り先となっていた可能性があります。
ゴミの運搬業務の発注先を変えさせたとされる件でも、
もともと役所が長年同じ業者と契約を続けてきたという問題があります。

役所が汚職議員の圧力に屈するのは弱点を握られているからであり、
事件の予防には「ゆすりのネタ」となる役所の悪弊旧習をあらかじめ潰しておくといった方向性が欠かせないのではないでしょうか。
これこそが“市民派”議員の本来の仕事であり、有権者から期待されていることでもあるはずです。


事件の無い平時に、汚職事件の対策を

最後に、議会運営など日々の対応に精一杯でドタバタしてしまったことも改善すべき点です。
具体的に私たちは、下記のようなことを全て自力で考えたり調べなければなりませんでしたが、
今思えばあらかじめ準備しておくことが可能なものがほとんどです。

・捜査から公判に至る一般的なスケジュール
・あっせん収賄罪やあっせん利得罪の関係法令と判例
・事件対応の成功例と失敗例
・100条委員会の立ち上げ方法と留意点
・辞職勧告の出し方と通し方
・逮捕議員の報酬支給凍結
・除名処分の正当性
・業者の指名停止と受注自粛
・政治倫理条例や口利き防止条例の先進事例
・疑惑調査と追及のコツ
・議会運営のポイント
・声明発表やマスコミ対応のポイント

これらは事件の内容や地域によらず共通のノウハウとなることが予想され、
インターネット上に蓄積することで、少なからぬ方々に利益をもたらす資産となるのではないでしょうか?
「汚職事件対策データベース」の構築を本会のプロジェクトとしてご提案申し上げ、
私の筆を置かせていただきます。

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