「民」という字の起源
2005年11月23日
関西大学で行われた日本租税理論学会に参加。
「いかに公平に税を集めるか」という徴税側の議論が中心になる中で、
将来の税金となる財政赤字も含めて、納税者が政府をどう監視すべきかという問題を
公会計の視点で説明した吉田寛・公会計研究所長の発表が印象に残りました。
「民」という文字は、針で眼をつぶされた奴隷を意味する象形文字だそうです。
複雑な税制と会計処理の背後にあるカラクリを、納税者は見抜かなければいけません。
以下、本日の質疑応答についての簡単なメモです。
051123日本租税理論学会大会
Q:
地方の自治や課税自主権を考えたときに、「税源移譲」という考え方はおかしいのでは?
集めた税金を国と州で分け合うドイツ共有税
分配率は州代表も参加している参議院で、国と州の仕事の割合に応じて話し合われる
集めた税金に対して地方も権利を持つということが基本法で保障されている
地方への「税源移譲」を国が一方的に議論している日本の現状はおかしい
Q:
地価が高い都市部の固定資産税はもっと下げるべきではないか?
川瀬光義・静岡県立大学
国は強制的に合併を進めて1万人以下の町を無くすことで交付税総額を抑えようとしている
しかし交付税総額が急増した理由は小規模な町ではなく大阪市のような大都市
大都市が固定資産税を勝手に引き下げ、その不足分を国が交付税で補っている
Q:
東京赤坂の蕎麦屋は年間1000万円の固定資産税を払えず訴訟を起こしている
土地の売買価格・公示価格で固定資産税を決めるのではなく、収益還元法で決めてはどうか?
生存権的財産と投機的財産を分けて固定資産税の税率を変える方法もあるが?
固定資産税を累進課税にしたり、持ち主の所得に合わせて税率を変える案はどうか?
川瀬光義・静岡県立大学
台湾や韓国は固定資産税についても累進課税を行っているが、効果は見えていない
ほとんどの物件が最低限の基礎税率にとどまっているため、定率課税に戻そうという意見もある
固定資産税は「高価な不動産を持っている」ということに担税力を見出している物税
持ち主の所得などであらためて担税力を測るのは適当ではない
収益還元法で不動産の価値を表せれば、それに越したことはないが・・・
Q:
観光税や宿泊税などは、税負担者が住民ではないため民主的コントロールに参加できないが?
井川雅樹・名城大学
最近各地で導入されているパブリックコメント手続きなどがひとつの参加手法になる
最終的には住民代表による議会で決まるため、民主的コントロールが不完全なのは課題
粕谷晴江・税理士
目的税には課題を排除するという目的がある
例えば宿泊税には「宿泊者のためにインフラを整えなければならない」という住民の課題
Q:
道路目的税の一般財源化や、消費税の年金目的税化についてはどうか?
井川雅樹・名城大学
道路受益者のためという名目で集めはじめた税金をそれ以外に使うのは間違い
道路目的税は当初5年の時限立法であったのが、延長を重ねて今日に至っているのが問題
年金は全国民を対象にしたサービスなので消費税を財源としても良い
Q:
地方財源を確保するために消費税を増やすと、結果的に低所得者に厳しい応益税になるのか?
粕谷晴江・税理士
国税についてもフラット化が進み、所得再配分機能が落ちていることを憂慮している
地方税についても応能負担であるべきで、応益部分は固定資産税などに求めている
生活必需品を買う量は所得に比例しないので、消費税には逆進性があると考えている
Q:
将来の税金を減らす財政運営と、住民に対する福祉サービスの関係についてどう考えるか?
小泉首相の貸借対照表について公会計の立場からどう評価するか?
累進課税はそれほど複雑ではなく、必ずしもフラット課税が最良とは言えないのでは?
税金の使われ方についてだけでなく、税金の集め方についても民主主義が必要ではないか?
吉田寛・千葉商科大学
福祉政策で重要なのはそれを実施する財力があるということ
小泉首相の貸借対照表を見れば、「年金は払えません」ということが明らかになる
首相は「小さな政府を目指す」と言いながら、将来の税金を増やす「大きな政府」になっている
累進課税の複雑性よりも、租税特別措置法にある多種多様な特例こそ無くすべき
米国のシクスティープラスという団体は「相続税をなくす案に賛成します」と議員に誓約させた
カテゴリー:
テーマ:
関連記事 :
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL
http://nada-kobe.com/mt/mt-tb.cgi/633