もと消防庁次長の北里敏明さん
2005年08月29日
京都にて、もと消防庁次長(官僚トップ)の北里敏明さんを招いて学生の勉強会。
「武力攻撃事態に対処する法律は、戦争をするための法律ではなく、攻撃を受けたときのための法律であり、
いざという時に国民を守るために国家は存在している」という信念を語って下さいました。
火事は起こさないように注意するのが大前提、戦争も起こさないように努力するのが大前提。
それでも起こってしまったときのために、組織を準備し、法律をつくっているわけです。
以下、私のメモです。
050828北里敏明・もと消防庁次長
Q:自然災害に対する予測はどの程度信頼できるものなのか?
A:例えば台風や高潮被害の予測はかなり正確になっている
気象庁が地殻変動を毎日監視しており、東海地震は予測できると言われている
一方で、予測できない地域から起こる地震をどうするかという議論も始まっている
Q:消防・警察・自衛隊など、日本の危機管理は世界的にみてどうなのか?
A:韓国やスイスは実践的な訓練や経験を積んでいる
鳥取県の訓練で、自衛隊に電話しようとしたが連絡先が分からなかったエピソード
ロールプレイで実際に動いてみて不足を明らかにするような訓練が有効
日本もやっと法整備が始まり、これから具体的な計画がつくられるところ
Q:災害や危機におけるマスコミの現状についてどう考えるか?
A:阪神大震災のころ、何かあるとメディアは「行政が悪い」と一方的に批判した
最近はマスコミも冷静になり、本当に役に立つ情報を流そうとするようになっている
震度3や4の自身でも頻繁に報道することで、震度7の地震が起こりうることを警告し続ける
震災直後、ヘリの音で瓦礫に埋まった生存者の声が聞こえなかった問題も解決すべき
Q:武力攻撃事態が起こったときの役割分担はどうなっているか?
A:自然災害のときは自衛隊が災害出動をする
武力攻撃事態では自衛隊は武力を排除することに専念するため、災害対策はできない
地方自治体は自力で災害対策をできるようにしておかなければならない
消防庁は国民保護法の担当省庁になり、国民の非難誘導や警報を行う
17年度は各都道府県が国民保護計画を決めてゆくことになる
Q:消防団の高齢化や人手不足が災害時に与える影響は?
A:毎年3000人の消防団員が減っており、かつて100万人いたのが現在は93万人しかいない
合併で議員で職員が減るのはよいが、消防団を減らすわけにはいかない
一定の面積には一定の人数の消防団が本来必要なはず
全ての地域に自衛隊や消防が来るわけではないので、自助・共助の組織が必要
サラリーマン消防団が増えているが、昼間は地元にいないのが問題
昼間は勤務先の地域の消防団に加入するような仕組みが有効ではないか
自主防災組織はあくまで自治会のようなもので、特別職公務員としての消防団とは異なる
Q:地方自治が進むと防災や危機管理に地方格差が生じるのではないか?
A:地方の危機管理は地方自治体の首長の認識が非常に大切
緊急時に様々な組織の相互調整を行う役割であると自覚している首長かどうか
防災や危機管理は行政の根本的な役割のひとつ
北朝鮮拉致問題は、日本国民の命を守れなかった事例として反省すべき
自然災害は自治事務なので、地方ができない部分を国が補完する方式
たとえばハイパーレスキューは国から地方に派遣する消防部隊
Q:危機管理について交通やインフラなどの民間企業との連携は?
A:ガス・電力・通信・マスコミ・交通機関などは指定企業として密接に連携している
Q:危機管理の組織やマニュアルを作っても実効性がないように感じるが?
A:今年、いくつかの教科書で「稲むらの火」の物語が復活掲載されるようになった
スマトラ地震では「渚の天使」と呼ばれた少女が、数日前に習った津波の知識で多くの命を救った
大切なのはマニュアルではなく、ごく基本的な知識とそれを活かす危機意識
役所のトップに危機意識があれば、それだけで危機管理は格段に上手くいく
危機管理担当者をNYのグラウンド・ゼロに連れて行き、危機の現場を肌で感じさせたい
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