学校選択制にしない世田谷区
2005年07月12日
東京都世田谷区の教育長をしておられる若井田正文さんと面談。
私はこれまで、公立の小中学校が互いに特色を競ってレベルアップし、
それを保護者と子どもが自由に選べる「学校選択制」に賛成していました。
しかし、若井田さんの「どこの地域に生まれても信頼して入ってもらえる学校を準備したい」という正論と、
保護者の提案やクレームを活かす具体的な仕組みの数々を説明していただくうちに、
大切なのは制度ではなく組織の風土であると確信するようになりました。
以下、私のメモです。
050712学校選択制をとらない世田谷区
小学校64校3万人、中学校31校1万人
自分の学校区に不満があれば、それを地域が表明して役所が改善してゆくべき
品川区では選択制により児童が十数名に激減した学校もあり、在校生が惨めな思いをしている
公立の義務教育については、どこの地域に生まれても信頼して入ってもらえる学校を準備したい
平成17年3月に定めた世田谷区教育ビジョンで「地域とともに子どもを育てる」と明記した
地域の声を聞いて学校を改善するため、学校外部評価制度を始める
保護者や高学年児童の評価に基づいて、直ちに改善するかその方向性を示す
区全体の共通アンケート項目に各校独自のアンケート項目を加え、集計分析は教育委員会が行う
アンケートの分析内容をもとに外部評価委員が現場にヒアリングを行い、評価結果を公表する
外部評価結果に対する学校側の改善方針や反論もあわせて公表する
地域運営学校を全国最多の5校(小学校3、中学校2)セッティングした
設置者である教育委員会がすべての学校を運営できないため、これまで校長に権限委譲していた
校長の学校運営方針を地域や保護者も交えた学校運営協議会で承認するように法律が変わった
これまでは校長によって苦情対応や方針説明に温度差があった
地域運営学校では法律に基づき、地域と保護者が一定の権限を持って学校運営に参画する
学校評議員は校長の相談役という形にシフトして、学校協議会と役割がダブらないようにする
そのノウハウを全校の学校運営協議会に広げて効果を試したいという狙いがある
まず地域コミュニティーがしっかりしていないと、学校が特定個人に私物化される恐れもある
地域との交渉や交流を支援する学校支援コーディネーターも育成している
教育委員会改革として、部課長が学校を順番に回り保護者と直に意見交換している
校長の意識改革のために、ゼミ形式の学校経営塾の開講も検討している
塾長に元日銀総裁の三重野さん、第一回講義はIBMの北城さん
震災直後に避難所運営を学びに芦屋を訪れた
地域防災を考えたときには、公立学校の単位でまとまっておくべきだという報告書を出した
平成9年度から全国に先駆けて学校協議会を設置した
例えば地域と児童が学校の体育館で泊まる「サバイバルキャンプ」を実施している
平成12年の地域総合型スポーツクラブも世田谷では学校協議会が中心となって立ち上げた
スポーツ以外に高齢者向けサークルも同様に学校中心で立ち上げている
そういう取り組みの積み重ねで、学校選択制ブームの中でも議会を説得できた
「何かを変えないといけない」という不安は分かるが、変える勇気と変えない勇気が必要
英語教育も最初にネイティブ以外の発音を聞かせるのは問題ではないか
日本語が分からなければ英語を訳せず、結局は日本語力以上の英語力はつかない
世田谷区「日本語」教育特区の認定を受け、日本語教育のパイロット校を作っている
「特色ある学校」も校長や教員が変わると簡単に特色も変わってしまいがち
保護者の実際の評価基準は教育内容の特色ではなく根拠の無い風評に左右されることが多い
「西の神戸、東の世田谷」と言われるほどコミュニティーを大事にしてきた
世田谷区教育指導課で受けるクレームは年間900件、保護者の教育に対する意識は高い
PTA連合協議会が独自でアンケートをして区教委に提言書を出した
世田谷区ビジョンはその提言書に応える気持ちをもってまとめられた双方向の産物
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