京大防災研究所の林春男教授

2005年01月25日

議会で林春男・京大防災研究所教授の勉強会。
公費で開催されているので、しっかり勉強しなくてはいけません。

・ハザード(自然現象としての災害)と地域防災力の双方で被害の大きさが決まる。
・避難所で寝ている人数ではなく、周辺も含めて弁当を配った数が「避難者数」だ。

・・・等々、いくつかハッとさせられる気付きがありました。

以下、私のメモです。

050124林春男・京都大学防災研究所教授「いのちを守る地震防災学」

防災の目的は、とにかく被害を出さないことと、起こった被害に的確に対応すること
地震被害の大きさは、単に「地面が揺れる」というハザードだけで決まるものではない
鳥取地震は兵庫県南部地震より揺れが6~7割大きかったが、死者ゼロだった
ハザードと地域防災力のふたつが原因となって、被害の大きさが決まる
いつどこでハザードが起こるかを予知・予測する(防止はできない)
もう一方で地域防災力を向上させ、被害を抑止・軽減することも重要

防災の基本は、まずハザードの理解を深めること
被害抑止のためには、ハザードごとに種類の違う備えが必要
被害軽減のためには、一元的な備えが必要
災害の規模がある一定ラインを超えると、被害抑止ではなく被害軽減が必要になる
災害直後の緊急対策期は一分一秒が長く、その後の復興期は変化に乏しい
救助活動の生存率も、初日は80%、2日目は25%、3日目は20%で最初の72時間が勝負

誰を避難者と考えるか?
神戸市では配給した弁当の数と、寝起きしていた人数の二種類で避難者をカウントした
配給した弁当の数を「避難者」と呼ぶことにより、弁当代が全て国庫から支出された
寝起きしていた「就寝者」との人数差は大きく、弁当代の差額は合計100億円に上った
自宅が無事でもガス・水道が止まっており、生活実態は避難者と同等だった
激震地でも、住民の6割は初日から自宅に「避難」していた
避難所は地域の防災拠点として、「就寝者」だけでなく地域全体をフォローすべき

神戸の復興計画は、住宅・都市計画だけでなく中小企業・経済対策を含んだ新しい形
インフラ復旧の上にハード復興と経済復興を重ねて、被災者の生活復興を目指した
インフラ復旧は2年、住宅再建は5年、都市計画は10年で終わった
中小企業対策と経済活性化は、景気低迷の影響もあり終わっていない

災害後の経済には3パターンがある
建設関係は震災後の3年間で10年分の建設工事をしたので、残り7年間は需要が減った
日用品などは震災後しばらくすると、震災前と同じ水準に復旧した
神戸港などライバルのいる業種は、震災後も8割まで復旧して後は横ばい
国が巨額の税金を投入して復興を急ぐと、地元が経済復興を話し合う機会が奪われる
被災者が自分の体験を見つめなおし、そこから何かを汲み取れるかどうかがカギ

市役所で議論されている「神戸市の重大な危機シナリオ」
日常的危機は、台風・地球温暖化(外的)、収入源・イメージダウン(内的)
非日常的危機は、南海地震・ライフライン停止(外的)、財政破綻・情報システムダウン
これら8つの危機に今後どう対応してゆくか?


質疑応答

Q,瓦礫撤去の公費負担が創設されたのも、神戸市の成果ではないか?

A,瓦礫撤去の公費負担について、神戸の場合は役所の監視のもと工事の質が保たれた
  しかし現状は被災者が撤去費用という大金を持って、業者のカモにされている

Q,当時「弁当ではなく金券支給を」との主張は実現しなかったが?

A,弁当しか配れない法律の壁があっても、食材を配ったり工夫している地域もある
  そのような問題を実感した神戸市こそが、引き続き法改正を求めて運動すべき

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