学童保育の「地域方式」

2004年11月20日

市内の学童保育所を非公式で視察させていただき、
その後、立ち上げや運営に関わってこられた保護者の方に実情を伺いました。

神戸市の学童保育は、児童館などで税金を使って小学生の居場所を設ける方式と、
保護者の方々が自主的に場所を借り、指導員を雇って運営している「地域方式」があります。
地域方式の財政状態は非常に厳しく、家賃は5~6万円の長屋か文化住宅、指導員の月給は12~13万円、
保護者の支払う利用料は月1万円~1万5千円、というのが一般的な相場のようです。

視察先では子どもたちが1年生から6年生まで一緒に外で遊び、古き良き「子ども社会」がありました。
保護者も単なる利用者ではなく、主体的な運営者として教育や地域活動に関わるこの方式は、
保育事業として見るのではなく「地域教育コミュニティーづくり」として見るべきだと感じました。
役所がこれを超えるコミュニティーづくり政策を実施している例を私は知りません。

以下、私のメモです。

041119学童保育連絡会

住宅地にある家賃6万円のボロボロの長屋
震災は何とか切り抜けたが、次に地震が来たら確実に潰れると不安
隣の部屋と壁一枚なので、子どもが少しでも騒ぐと苦情が来る
近隣からはどうしても迷惑施設と思われるので、地域に溶け込む努力が欠かせない
最近は地域の自治会もここで開催するようになった

保護者の支払う利用料は1万円~1万5千円
こんなボロボロの学童保育でも、経済的な理由で入れない家庭が多い
生活保護世帯が学童保育の領収書を提出しても、必要経費と認められないことが多い
今や学童保育に子どもを入れられるのは経済的余裕のある家庭だけ

指導員は正規職員1名、バイト1~2名
正規職員の月給は12~13万円
無償ボランティアを導入しないのは、保育の質が下がり無責任になるから
身分は不安定で収入も少ないが、皆やりがいを感じてこの仕事を続けている
子どもが学童保育をやめてしまったら、自分たちがクビになるという危機感もある

神戸市からは設置助成金と運営助成金をもらっている
設置助成金は2段階、運営助成金は3段階にランク分けされている
子どもが10人以上でランク1、18人以上でランク2、30人以上でランク3の助成金子どもが5~9人の施設は「かぎっ子ママ方式」という別の助成制度がある
逆に、子どもが一人でも減ってランクダウンすると、とたんに財政が厳しくなる

同じ地域にある児童館でも学童保育サービスが行われている
児童館方式の場合、保育料は無料で「おやつ代」として月1500円払えば済む
児童館よりも良いサービスを提供しなければ、地域方式の存在意義が無くなる
児童館は3年生までしか預からないが、地域方式では6年生まで預かるところも多い
17時半に学童保育が終了してから、18時半ごろまでに子どもを車で送り届けている
警報が発令すると児童館は閉まるが、地域方式は必ず開けるようにしている
保護者が第一に考えているのは「子どもの安全」なので、そこに注力している

運営主体は保護者であり、保護者からなる運営委員会が職員を雇う形
保護者が「利用料を払って文句だけ言うお客様」にならないのは長所
いじめやLDなどの課題も、基本的には保護者が主体となって解決する
職員は保護者と学校・地域の橋渡し役に徹して、話し合いが円滑に進むようにする
保護者が運営に関われること自体が地域方式の醍醐味で、体験しなければ分からない

神戸市には、運営助成金を値上げするように毎年交渉している
職員や施設などに最低限の基準を設け、公がそれを財政的の保障してほしい
最近は「児童館運営検討会」にも参加させてもらうなど、連携もできてきた


質疑応答

Q,神戸市に対してどのようなことを望んでいるか?

A,子どもをもっと安全な場所・騒いでも近隣に迷惑をかけない場所で保育したい
 職員の待遇ももう少し良くしないと、やりがいだけでは続かない
 そのためにも運営費助成金を大幅に値上げしてもらうよう、毎年交渉している

Q,神戸市は利用料の安い児童館方式を広げ、地域方式をつぶそうとしているのか?

A,そこまでは感じないが、このままでは結果としてそうなってしまう
 実際に財政難で潰れた地域方式学童保育所もある

Q,多額の税金が投入されたり公の関与が強まると、「自治」の良さが失われないか?

A,そうなる恐れはあると思う
 明石市でも全ての学童保育を公立化した結果、保護者による自治が弱まったと聞く
 教育システムは国や市ではなく、親や子どもの当事者がつくるべきだと思う

Q,地域方式の学童保育で育まれたコミュニティーは、その後も続いているのか?

A,OB会などもあり、「学童っ子まつり」などのイベントでコミュニティーを保っている

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