指定管理者制度の課題(決定版)

2004年10月04日

毎月行っている兵庫県内の無党派議員の勉強会に参加。
公共施設の管理を民間企業やNPOや自治会に任せよう、という大きな制度変更である
「指定管理者制度」について、地方自治総研・三野靖さんのテキストで整理しました。

指定管理者制度の目的は、民間のノウハウを活用して住民サービスを向上させることです。
ところが、コスト削減したい役所と、金儲けの場がほしい民間企業の利害が一致して、
お金のことばかりが議論になりがちです。
施設の管理運営は民間のノウハウで柔軟に行い、役所はもう一段上の「公共責任」を果たす。
多くの課題をクリアしながら、制度本来のビジョンを実現させなければなりません。

以下、指定管理者制度の課題リストです。

041004指定管理者制度の論点(地方自治総研・三野靖さんの論文より)

1、指定行為の課題

契約行為でないため、一般競争入札の対象にならない
「低入札価格調査制度」「最低制限価格制度」の対象にもならない
請負に該当しないため、地方自治法92条の2、首長・議員の兼業禁止規定も適用されない
透明性を高めるために、外部の選定委員会で審査することが必要
取消権が制限され、行政が一方的な取り消しをした場合は訴訟や国家賠償の対象になる
条例の規定や運用しだいで、選定の対象を恣意的に限定することも可能
逆に外郭団体などを切った場合は、団体の整理や職員の処遇が問題になる

2、指定管理者要件の課題

法人格は必要ないが、個人は対象とならない
公民館や小規模な福祉文化施設はNPOや市民団体を優先する方法もある
指定管理者が長期に固定されると、独占状態が形成される恐れがある
杉並の保育所や横浜のケアプラザは、指定期間が終わっても公募なしで更新する条例

3、業務範囲・管理権限の課題

従来の管理委託制度との大きな違いは、使用許可まで業務範囲に含まれる点
行政財産の目的外使用の許可権限は、指定管理者を委任することができない
住民福祉のために税金で設置した施設で民間が利益を上げるのは一線を引くべき
たとえば施設の駐車場で指定管理者がフリーマーケットを開催する例
ホールの売店などは、これまでも管理受託者で許可している例が多い
利用制限や強制力を伴わない範囲での排除行為を指定管理者が行う場合もあり得る
駐輪場の放置自転車の撤去などは簡易な代執行とされているが、法的にはあいまい

4、自治体のコントロールの課題

管理者の経営悪化に備えて、指定時の協定で管理者に契約保証金を納付させるべき
直営から指定管理者に切り替えると、役所のノウハウが無くなる恐れがある
民間が指定管理者になった場合は情報公開の対象外になるので、条例改正が必要
清掃や警備などの具体的業務を指定管理者から再委託することは規制されていない
指定管理者には事業報告書の提出義務はあるが、議会への報告義務はない
民間企業については管理業務以外の情報についても収集し、注意を払う必要がある
利用者たる住民からの外部評価制度を設け、不平等や過度の利益追求をチェック

5、利用料金制の課題

民間企業が公の施設で企業利益を上げることができるようになった
利用料金の範囲・算定方法などは条例で定め、地方公共団体の承認を得ることになる
横浜私立港湾病院のように、指定管理者が自治体に負担金を払うケースもある
民間が管理する三鷹の保育所は、給料が安いため職員が定着せず「マニュアル保育」
料金が安くなる代わりにサービスの専門性が低下する可能性はある
保育所の特別給食やスイミングなどがオプション料金制になる可能性もある

6、その他の課題

利用者に損害が生じた場合の国家賠償責任は、設置者としての自治体が負うことになる
指定管理者の賠償責任を認めても良いのではないかとの指摘もある
国や自治体が管理すべき道路・港湾・河川・下水などは指定管理者に移行できない
事業の実施はほとんど民間に任せ、役所はその結果責任だけを負う時代が来るのか?

7、役所の責任

行政サービスのアウトソーシングにより不安定な労働者を自ら作り出す矛盾
指定管理者の雇用者の労働条件については厳密な評価が必要になる
単に市場に任せるのではなく、いかにプラスに転化する環境を創り出していくか
民間の力やノウハウで住民サービスを向上させるのが本来の目的
役所のコスト削減や民間の金儲けが真の目的になってしまうと問題
役所の下請けばかりで真の民間企業が参入できなくなるのも問題
これまで公の施設に関する業務は、施設管理・管財業務という位置づけが強かった
公の施設は「住民サービス提供施策である」と役所が認識を改めるきっかけになるか
真の「公共性」は、施設を管理することではなく、住民の人権や福祉を保障すること
役所は施設管理の責任を軽減できたのではなく、真の公共責任を問われている

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