職員のやる気を引き出す市長

2004年08月22日

後半のパネルディスカッションは、穂坂邦夫・志木市長や白井文・尼崎市長など、
それぞれ単独で2時間ずつの講演をお願いしたいような贅沢な顔ぶれ。
「市長ひとりで役所に乗り込んでも何も変えられない。職員のやる気をいかに引き出すかがカギ」
というのが4市長の結論でした。

以下、私のメモです。

040821自治体職員有志の会パネルディスカッション

穂坂志木市長

消費税1%で2兆円の財源だから、収支均衡のためには20%も上げなければいけない
自治体も戦略を持って運営しなければ生き残れない
三位一体で税源移譲が進めば、都道府県と市町村の関係が問題になってくる
市町村の職員が難しいのは、市町村が最も大切な自治単位だから
地域力の総和が国の力となる

「すべての仕事を役所がやる」「役所は絶対に間違えない」という発想を捨てる
役所は非営利独占企業体としてオーナーである市民のために働く
少数者にも配慮したサービスを提供する点だけ企業と違う
個性のある自治体運営を行ってゆく
「よその自治体がやっている政策をうちもやる」では財源が足りない
自治体を変えるには職員の力が欠かせない
ある時点まではトップダウンが必要だが、そこから先はひとりひとりが動くかどうか


森高浜市長

職員の力だけでなく、地域の住民力も必要とされる
本日の会場ホールは再開発の商業用地を文化教育施設に方針変更した
カリスマ職員がそういう機会に必要とされてくる


白井尼崎市長

平成15年~19年で800億円の収支不足が予測された
平成14年末に市長に当選した時には、すでにNPMの思想が役所に入っていた
最近の企業は効率だけではなく、非効率でも地域のための事業を実施している
役所の経営ではなく尼崎の経営として捉えている

事務事業評価は煩雑な割りに活用されておらず、職員からは不要と言われている
ネットモニターは平均回答率96%で、若いサイレントマジョリティーの声を拾えた
YAAるぞ運動は自由参加にもかかわらず1900人が参加し、成功体験を共有した
施策評価委員会でD評価の事業が上手くいったり、A評価が議会で否決されたりした
即決プロポーザル制度でも、「実施済み」とされた会議ペーパレス化がまだまだ

事務事業評価のように、手段が目的となってしまっている反省がある


後藤臼杵市長

役所の性格を「経営」から「奉仕」にもう一度戻さねばならないのではないか
NPMがサービス向上の道具ではなく効率経営のための道具になっている
バランスシートや行政評価など流行の道具が、それ自身業務となり目的化した
管理型組織はマニュアルに基づいて指示し、事業を執行する
奉仕方組織はビジョンに基づいて選択し、問題を解決する
統治型ピラミッド組織ではなく、奉仕型逆ピラミッド組織で住民をサポートすべき


Q,市場原理になじまない非効率分野など、役所の本来の仕事は何か?

A,穂坂市長
  コミュニティーの調整を行い、住民力をつけてもらう
  一般的な会社ではやらないことでも、少数者のために行うべき事業はある
  
  森市長
  業務効率を第一に求めているが、一方で「住民」というものを忘れてはならない
  
  白井市長
  時代とともに変化するニーズに対応できる体制を整えておくこと
  
  後藤市長
  ウォンツではなくニーズがあることに選択集中して事業を行う
  特に難しいのが議会のウォンツに対応すること

Q,女性市長として特有の苦労があるか?

A,白井市長
  「女だから数字に弱い・理論的でない」と言われないように努力している

Q,市長として職員に期待するものは何か?

A,後藤市長
  管理型の組織から抜け出すだめに、権力に強制されない選択をしてほしい
  
  白井市長
  職員に提案すると過去の失敗例など「できない理由」ばかり言う
  もっと熱意ややる気を持って発信してほしい
  公用車に一般職員と乗ったり、面接研修やメールなど細かい対話を繰り返している
  
  森市長
  変化を恐れない姿勢を示してほしい
  
  穂坂市長
  専門性はあって当たり前なので、それに加えて柔軟性と創造性
  オリジナルな条例制定の作業を通じて、職員にそれらの能力をつけてもらう
  20人の職員と2時間かけて、市長自らウィークリー講座を行っている

Q,職員に熱意がない原因と、それを回避する方策は?

A,白井市長
  役所は新しいことに取り組まないほうが楽な組織
  上司から高く評価された経験がこれまで無かったのではないか
  多くの職員が小さな成功体験ができる仕組みと、他人の成功を喜べる風土が必要

Q,法学偏重の職員採用に対して、どのような工夫をしているか?

A,森市長
  採用年齢枠を広げ、民間企業経験も重視した採用にシフトしている
  部長クラスによる集団面接や、民間出身職員による面接など

Q,今後の都道府県の進む道、今の都道府県に欠けているものは何か?

A,森市長
  採用の段階では市町村よりも能力レベルの高い職員がおおいはず
  職員の能力を地域社会に還元できる方向にシフトしてほしい
  
  後藤市長
  市町村の仕事をサポートすることに徹すればよい

Q,チャレンジに伴うリスクについてどう考えるか?

A,森市長
  最後のリスクは首長がとるべきで、そのことによって職員はチャレンジできる

Q,本日参加の自治体職員に対するエールを

A,白井市長
  どんな変革も最初のひとりから始まる、あなたが最初のひとりになってほしい
  評論家は要らない、まず出来ることから始める人になってほしい
  
  森市長
  自治体職員有志と情報交換することで仲間を得た思いがした
  仲間づくりをしながら各自治体で力を発揮してほしい
  
  穂坂市長
  「市場化テスト」で自治体の仕事を民間と競う時代になった
  予算制度が変わらなくても、予算書の分かりやすい副読本をつくることは可能
  制度や慣習にあきらめずに、工夫をして問題解決してほしい
  
  後藤市長
  最も大切なことは実践であり、ごみを一つ拾えばそれだけ道はきれいになる

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