木佐茂男・九州大学大学院教授
2004年07月30日
友人の自治体職員に誘われて、豊中で行われた「自治体法務合同研究会」に参加。
役所の中で条例作りや訴訟対応などの裏方をしている法規担当職員たちが、
全国から集まって互いに法務能力を磨いたり情報交換をしたりしています。
基調講演は九州大学大学院教授の木佐茂男先生。
単に法律上の整合性を気にするだけでなく、イデオロギーや自治のあり方まで含めて、
法規職員が自治体の流れを作っていかなければならない、というお話でした。
以下、私のメモです。
040730九州大学大学院法学研究院・木佐茂男教授
日本で「自治体法務が重要」と言われるのは豊かさの欠如が理由ではないか
アメリカ独立13州は地方自治を当たり前のものとして法律に明記しなかった
消費者金融の顧問や役員には警察OBが並んでいる
日本には警察と取り締まる警察、検察を取り締まる検察がない
右翼・暴力団・ブラックジャーナリズム・官僚OBなど法律以外の紛争処理が多い
分権改革は本当に始まったのか
国地方係争処理委員会の担当者はアメリカ帰りの大蔵省出向職員だった
「具体的な係争が起こっていないのだから法整備も不要」という見解
逗子市の米軍住宅や長野県の田中知事など、最近ようやく国を提訴する自治体が出現
UFJを差し止めた三井住友や、全日空を訴えた日航など、係争が表面化する傾向
分権改革により仕事のスタイルが変わったと感じる市職員は少ないのではないか
徳島市の公安条例やマンション条例、風俗店条例など
国と地方の間の問題は頻発しているが、どれも係争処理委員会には行かない
地方自治法245条から後の「関与の規定」と「固有の仕事」
自分の自治体に役場がないケースが日本に3つ
西表島の竹富町役場は隣の石垣島にあり、三島村と十島村の役場は鹿児島市内にある
鹿児島市民ひとりあたり歳出34万円に対して、三島村と十島村はひとりあたり600万円
国道代わりのフェリー運営費が高いだけであって、一概に非効率とは言えない
総務大臣から地方自治体に送られる手紙は法的に公文書と言えるかどうか
スイスの基礎自治体が小規模で済む理由
過去20~30年に国と地方の官僚制が消滅し、職員は公募制になった
10年前に自治体の財源はすべて自主財源になった
効率的で自主的人事を伴った広域行政組織が存在する
広域行政組織と自治体は毎年契約を結び、契約時だけ法律家や会計士を雇う
日本でも合併しなくて済む財政運営・法務運営が可能だったように感じる
小さな村は職員も少なく、国や県からの膨大な通達・資料を読む時間も無い
EUでは大小様々な自治体を全体で支援し、多様性を大事にする運営
日本の自治体法務も「人間の尊厳」「多様性」などの原点に戻る時期ではないか
ドイツの中学教科書には訴状・反論書・判決文などが載せられている
ドイツではどんな職業に就く人も、自分の関連する法律をマスターしている
日本では自治体の職員・首長でも法律知識や法的思考ができていない
例えば行政訴訟法の変更で、自治体職員は裁判の可否を教示しなければならなくなった
しかし制度変更を研修している自治体は少ないのではないか
日本では原告的確・処分性・訴えの利益の3点が揃わないと行政訴訟ができない
日本の自治体は海外に比べて事務量と権限が大きすぎるので政策法務が必要
今後の政策法務は、さらに視野を広げ、また深い原点に戻って進めるべき
論文や条例にも書き手のイデオロギーや人間像がにじみ出ることに留意する
法令の枠自体を根本から見直す思考が必要
集権化や思想統制の流れの中で、政策法務として何ができるか
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