澤井勝・奈良女子大学教授
2004年05月08日
NPO主催の議員むけ研修「志の森」第3日目。
澤井勝・奈良女子大学教授の講義は「分権時代の地方財政」。
地方で使えるお金が将来的には現在の2分の1になることを覚悟して、
その少ないお金で何を実施するのか、住民主体で計画を立てるべき・・・というお話。
以下、私のメモです。
040508「分権時代の地方財政改革」澤井勝・奈良女子大教授
三位一体改革は、もともと地方分権を支えるための財政改革だった
公立保育所の補助金廃止により、民営化を進めていた自治体は得をした
まだ目標4兆円のうち残り3兆円の補助金が来年度以降も削減される予定
生活保護費の国負担3/4を1/2に減らす案も一時出された
義務教育国庫負担金を廃止する案も議論に上っている
自民党内には参院選対策で「来年度の地方財源を確保すべし」という声も多い
数年前に学会で叩かれていた交付税廃止論は、いまや政府・マスコミの主流
いずれにしても地方財源の総額は圧縮されてゆくと見て間違いない
片山総務大臣「現在の住民税を10%にして3兆円規模の税源委譲を先にすべき」
住民税を増税して所得税を減税する形で税源委譲を行う
制度改正がなくとも住民税や固定資産税の税率を変えることは可能だが、誰もやらない
今の制度を生かして工夫・チャレンジすることも大切
東京都の銀行税も二審判決「課税は構わないが税額が多すぎる」は都側の実質勝訴
神野直彦さんの考えが地方分権会議と税制調査会の方向を決めている
昨年12月に交付金と臨時財政対策債が合計12%も削減された
昨年度の不要額を今年度に回した自治体や、滞納税の徴収率を上げてつじつま合わせ
長野県などは基金をほとんど使い切ってしまった
横浜市や京都市が渡し切り予算など行政区を生かした地域内分権を進めている
地方自治法の地域組織ではなく、自主的に地域自治組織をつくるほうが良い
長野市の中からも地域自治組織が生まれて、地域自治組織の連合体のようになる動き
市民が予算の査定までする志木市の市民委員会も地域自治の好例
地域福祉計画も住民が主体になってつくると良い
地域懇談会のようなものを実施すると、最初は行政に対する批判と要求が噴き出す
続けていると「行政に言っても仕方ないから、自分たちで何かできないか?」となる
討論民主主義をどのように日本に根付かせてゆくのか?
「住民は要求し、行政は説明する」という関係から、協働という水平関係へ
自治とは「手弁当」
岩波新書「市民の政治学」篠原はじめ著
質疑応答
Q,神野理論が生きてくると、なぜ大変なのか?
A,住民税の増税をきちんと住民に受け入れて条例化できるかどうかが大変
増税の可否を住民投票にかけるどうか?
2006年度に地方債の許可制度が協議制度に変わる
縁故債であれば議会の議決だけで可能になってしまう
政策評価システムなどで住民に必要性を示すことが必要になってくる
Q,国の一般会計では歳出が歳入の2倍となっているが、
地方分権とともに地方財政規模を半額にしなければいけないということか?
A,基本的には半分になると思っておいたほうが良い
入るを計って出ずるを制す
歳出を減らしても住民ニーズが減らないのだから、公共サービスを民間が担う
市場万能主義のアメリカが経済成長するのは、移民による人口増という側面もある
日本は2006年から人口減少に入る
本来政府がやらなければならない社会保障に特化してゆく
ここ数年は公共事業が減っており、空いた人手を介護や教育部門に回すことが必要
その取捨選択のためにも政策評価が必要になる
北海道の「時のアセスメント」は公共事業を止めるための政策評価として成功した
Q,「税負担の公平性」という議論で、現実には不公平が拡大しているのではないか?
A,「高額所得者を優遇することが景気拡大につながる」という考え方
「法人は株主の集合体であり、法人課税は二重課税」という考え方
機会の平等を実現すれば結果は不平等になることもある
「10:5:3」と呼ばれるサラリーマンと自営業者の所得把握の不公平もある
納税者番号制度により所得把握をし、総合課税制度にする方法
日常品の税率を0%にした消費税も、公平な税制のひとつ
Q,議会では「国庫負担金の削減反対」の意見書を国に上げているのに、
市長会はなぜ「補助金の削減」ということを言えるのか?
A,去年から市長会は「補助金反対」に舵を切った
補助金の弊害がどれだけ地方自治に悪い影響を与えているか
Q,地方財政が縮小する中で、弱者に対する福祉をどのように確保すべきか?
A,「ウェルフェアからワークフェア」というブレア首相の考え
失業保険のような福祉ではなく実際に働く場所を与える
雇用労働行政について権限が下りて来ているので、それを活用すべき
市町村には求人・求職情報がないのが課題
和泉市は雇用政策課をつくり、毎朝求人情報を見て電話をかけ情報蓄積している
日本の生活保護は失業者ではなく高齢者・障害者・母子家庭が多い
母子家庭の就業支援と保育所探しのために「就業予定証明書」を交付する
障害者が障害者に技術を教える職業訓練
Q,「自己決定と自己責任」と言った時に、住民からの反発が大きいが?
A,社会的ネットワークや収入面で、自己決定できる人とできない人が存在する
地方自治体も自己決定できないところが存在するのに、国は一律にやろうとする
一方でセーフティーネット(安全網)を確保するのが自治体の責任
Q,県の徴税能力が人員削減で落ちていて、赤字法人の調査などが出来ないのでは?
A,都道府県税には確かにいろいろと問題がある
県が集めて市町村に配る消費税やゴルフ税なども、今後どう考えていくか課題
茨城県は滞納整理機構をつくり、市町村の滞納整理を国税執行官OBにさせている
徴収率が95%を切っていたら、税として非常に問題が多い
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