耕さない&除草しない「ミミズ農法」
2004年05月09日
私が関わっている環境学習NPO「グローバル・スクール・プロジェクト」の
総会に出席するため、朝イチの新幹線で東京へ。
中村好男・愛媛大学教授の実践する「ミミズ農法」は、
土を耕さず、除草剤も農薬も化学肥料も使わない型破りの自然農法。
それが明らかに目で見て分かるほど、作物がよく育つ不思議。
以下、私の講演メモです。
040509中村好男・愛媛大学教授
鉱物としての「土」と生き物も含めての「土壌圏」
土壌には物理性・化学性・生物性の3つの性質
固相・液相・気相の3つの相
生産・分解・調整(自浄)の3つの機能
液相・気相の生物調整機能に関わっているのがミミズ
個体・個体群・群集の3つの階層で行動法則がガラッと変わる
「多様性」という言葉は群集レベルの話
日本語の「腐る」には腐敗・分解・発酵の3つの意味が混同されている
無農薬・無化学肥料・耕さない・地表に草の生えているみかんは腐敗せず発酵
有機農法では腐敗したものが、上記の自然農法では腐敗しなかった
土壌粒子に水膜がつき中に気泡ができているのが「飽和」状態
土の中には水生動物が住んでいるので、より多様性がある
土を耕すと気泡がつぶれて飽和状態が崩れてしまう
「動物が耕せばそれでよい」と考えているが、農学者とは意見が異なる
土壌を考えるときに鉱物だけか、微生物までか、動物まで含めて考えるか
植木鉢にミミズを2匹・4匹・8匹入れると比例して植物は育つ(オーキシン効果)
ミミズが土に穴を開けることで、水と空気の流通が良くなり物理性が変わる
ミミズがいる土は水溶性が多くてもろくなる
土の上に易分解性の堆肥、その上を難分解性のもので覆う「二重被覆」が最も良い
畑で直接堆肥をつくっていくような方式
ミミズのフンは水中に入れても崩れない耐水性団粒
ミミズのフンは病原菌の成長を食い止める拮抗性を持っている
フンにカビが生えて、そこに菌糸を好むトビムシが集まってくる「遷移」
アミノ酸が種類・量ともに豊富に含まれている
生姜をミミズのフンの中に埋めておくと腐敗しなかった
根瘤病にかかった植物をミミズの鉢に植えると3週間で治った
ミミズの体液には毒性があり、ライセニンというたんぱく質が研究対象になっている
無農薬だと地上の葉が虫食いになる問題は、地表を雑草で覆うと虫食いにも強くなる
土を耕すならフトミミズ、堆肥をつくるならシマミミズと使い分ける
市販の発酵堆肥にシマミミズを入れて団粒化すると、効果的な堆肥になる
60℃の発酵堆肥が30℃に冷めるとシマミミズ、最後にフトミミズが土と肥料を混ぜる
基本的には熱発酵していないほうがミミズ堆肥にふさわしい
ミミズのフンを水に漬けた水溶液「液肥」だけでも十分な肥料になる
質疑応答
Q,ミミズの土では、なぜ窒素・リン酸が少ないのに植物が育つのか?
A,現代農業ではN(窒素)やP(リン)を肥料として何キロ投入するかが重要
ところが実際は、投入した以上のNやPが収穫物に含まれている
もともと地中にあるPをミミズが吸収しやすい形に変えているのだろう
現代農業では理解されにくい話で、農家にも大学にも信じてもらえない
Q,キューバはお金がないためミミズ農法が実用化されているが?
A,農協がミミズのフンを肥料として引き取らなかったので広まらなかった
農協を通さない農家が増えてきたので、徐々にミミズ堆肥が流通してきた
市販の「ミミズフン堆肥」の中には偽物もあったので注意が必要
Q,ミミズのフンが大量に必要になるのではないか?
A,100%ミミズのフンでは強すぎるので、せいぜい10%ぐらいを撒けば良い
北海道の王子製紙が廃棄パルプで大量にミミズを育ててフンを生産している
本州では相模浄化サービスぐらいしか知らない
Q,何に注意すれば良いか、病気や寒さは、実の味や栄養価はどうか?
A,除草しない分、頻繁に芝刈りをしなければならない
ホンダの30cm幅バリカンで細かく刈ることが堆肥化につながる
晴れた日に芝刈りをすると日光で土が痛むので曇りの日に行うと良い
草が地表を覆うので断熱効果も高く、雪や霜にも強い
転換しても、ミミズが増えるまでの5年間は収量が3~4割になってしまう
自家採取ではなく化成肥料向けの種では収量が落ちるのも仕方ない
デメリットは、計画的にできず畑と天候に合わせなければならないこと
豆類は栄養が多すぎて葉が大きくなってしまう
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