志木市の「行政パートナー制度」

2004年05月12日

横浜から昼食をとる間もなく移動して、埼玉県志木市へ。
人口6万7千人の小さな街が、いま日本中から注目されています。
役所の職員を半分にして、代わりに市民が「行政パートナー」として役所の仕事を担ってゆく・・・
財政を20年先まで真面目に計算した結果として出てきた革命的なシステムを勉強してきました。

以下、私のメモです。

040511志木市の地方自立計画

志木市:人口67000人、面積9平方キロ、一般会計予算174億円
政策審議室長の山田さん
震災直後の2月から4月まで志木市からも応援に行った

平成13年7月に穂坂市長が無投票で当選して以降、全事業をゼロベースで見直し
公約1、新しい市民参加型による市民が創る志木市
公約2、徹底した情報の公開
公約3、開かれた行政評価制度の導入

平成元年度から事務事業評価を実施してきた
それまでの自己評価を第3者が市民の視点で評価する仕組みに変えた

平成13年10月に市政運営基本条例を制定
横須賀市の調査によれば、基本条例を制定している自治体は全国で12

役所・議会・市民の3つの視点で事業をゼロベースで見直し
市職員からなる「市民が創る市民の志木市推進本部」
議員からなる「志木市行政運営調査特別委員会」
市民からなる「志木市民委員会」

志木市民委員会は当初252人で発足(30代~50代男性が多い)
任期2年で無償ボランティア、市の支援は場所の提供と年間180万円の予算
8部会に分けて土日・夜間に実施
平成16年度は事業の存続・廃止や予算の査定をしてもらった
同時に議会にも予算書をつくってもらう案もあったが、議会側が応じなかった

事業見直しの結果、927事業のうち430事業が廃止・見直しになり13億円削減された
廃止だけではなく小学校1年生の「25人程度学級」など、浮いた財源で新施策
今年度からは3年生まで「28人程度学級」

市職員からなる「財政改革検討委員会」が中期の財政見通しを算定
4年後には赤字になることが分かったので、職員補充を5年間凍結した
さらにプロジェクトチームをつくって20年間先まで財政見通しを算定
志木市の人口ピークは2008年、しかし納税者数のピークはすでに過ぎていた
現実的なシミュレーションに基づき「地方自立計画」を策定

税率や公共料金など負担を上げるか、サービスを切り捨てるか、市の人件費を下げるか
20年間職員採用を凍結し、人手不足を市民が直接補う「行政パートナー制度」
委託料として自給770円を市民に支払う
市職員ひとりあたり840万円の経費(間接経費も含む)がかかっている
助役が全職員と面談して自立計画への賛同を取り付けた
20年間で市職員が600人から300人に半減し、経費が合計67億円浮く計算
個人のプライバシー保護を徹底するために、行政パートナーの義務を条例で定めた
医師など専門職は減らさないので、実際の削減対象職員は500人から200人に減らす

臨時職員でも自給800円であり、コスト的には市民パートナーと変わらない
臨時職員は正規職員の指示で補助業務を行うが、市民パートナーは対等契約
行政パートナーは有償ボランティアで、地方公務員法ではなく労基法が適用される
行政パートナーは対個人の契約ではなく、あくまで対団体の契約
NPOなど市内で社会貢献活動を行っている団体を市民公益活動団体として登録
役所の示した予算枠内で企画コンペを行ったうえで、実行力なども審査して決定
役所と団体が協議しながら仕様書を作成し、委託契約とパートナーシップ協定を締結
研修を行った後に業務を実施

小規模な志木市内には、業務を請け負うことのできるNPOがもともと少ない
NPOに所属していない個人の力を生かすための「個人予備登録制度」
たとえば「教育に関わりたい個人」をグループ化して市民公益活動団体を結成する
個人予備登録者は現在108人で、うち50代が24人・60代が64人
ただ単に高齢者に福祉金を配るのではなく、仕事を頼んで賃金を払ったほうがよい

まずは運動場や資料館など施設運営の業務委託が多い
市民と職員からなる「市民協働業務評価委員会」が市民団体の業務を評価
行政評価のように厳格な評価ではなく、市民協働の芽を育てる目的
既存のボランティア団体の領域を侵さないよう、役所の業務領域に限って委託

「最終的に50人の市職員で自治体を運営できる」というのが市長のビジョン
つい30年前までは、役場の職員も少なく、村道は村民が直していた
今は猫一匹死んでいても役所に電話をして職員に片付けさせる
自治体の将来を見通したときに、こんな状態が続けられるはずがない

各課の係長で1648業務を「市民に任せてよいもの」「市職員しかできないもの」に分類
半分以上にあたる842業務を4期に分けて市民に任せてゆく方針

構造改革特区への提案
先日は議会からも「選挙運動期間を5日に短縮する特区案」が提案された
議会議長が市長となる、議院内閣制のようなシティーマネージャー制度
助役と収入役を兼業できる特区も提案したら、全国10万人以下の市町村で認められそう
市街化区域の農地転用では不要となる農業委員会の廃止
責任の所在があいまいで、合議制のためスピードに欠ける教育委員会の廃止

そのほか、エコマネーとしての地域商品券について導入を検討している
行政パートナーの委託料のうち5%を地域商品券で支払いたい
それ以外にも市が謝礼として図書券などを渡していたものを地域商品券に変える
将来的には商店街だけでなく公共料金の支払いに使えるようにもしたい

質疑応答

Q,新規採用を凍結したときに、庁内の活力が失われないか?

A,職員が退職したら、その穴を市民で埋めていかなければならない
  行政パートナーが足りなかったときは、少ない人数で仕事をこなすしかない
  年齢構成が偏る問題は、任期つき採用が認められるように国に交渉している
  団塊の世代が大量に退職する時期には、多少の新規採用も必要になる

Q,合併や市長の交代などが予想されるなか、自立計画が覆されるのではないか?

A,変わってはいけないものは条例化してある
  自然再生条例、公共事業市民選択権保有条例など
  自立計画の内容そのものは時代の流れに応じて変化して当然

Q,税収増をはかるようなビジョンはないのか?

A,臨海都市ではないので、埋め立てで市域を広げて人口や工場を増やせない
  観光資源もなく、典型的な住宅都市として生き残るしかない

Q,コスト削減だけでなく、この部分はお金をかけていこうという分野は?

A,ひとつは教育部門
  実際は、高齢者福祉の費用などが自動的に増加してしまう分が大きい
  国の財政難を素直に見れば、今後も財源が減っていく流れは決定的
  臨時財政対策債は「今年食べるもの(経常経費)」を借金でまかなっている

Q,学校給食や保育も行政パートナーに任せてゆくのか?

A,給食は自校方式で、退職不補充の形で市民ではなく民間業者に委託
  保育は検討中だが、民営化が良いのではないか

Q,議会の反応はどうか?

A,今でも議会内では「市民委員会ばかり何で目立つんだ」という不満がある
  市民委員会はやりたい人がやっているが、議会は市民が選んだ議員からなる
  市民委員会には議決権がないが、議会には法で定められた議決権がある
  市民委員会の意見を尊重しながら市長が提案したものを、最終的に議会が決める

Q,市職員も不補充、行政パートナーも高齢者が多いが、若者の雇用については?

A,自給700円では生活給になり得ないので、働き盛りの方の応募が少ない
  将来的には期限付き採用などを考えていかなければならないと思う

Q,予想外の成果としてどんなことがあったか?

A,行政パートナー自身が誇りを持って生きがいを感じている
  行政パートナーから政策や制度に関する具体的な提案が出された

Q,住民の反応はどうか?

A,新聞報道などで市民が誇りをもってくれている
  少人数学級などに魅力を感じて移ってくる住民はいるかも知れない

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コメント

  1. いさか
    2004年07月21日 00:15

    うっちーさん、お久しぶりです。
    七尾でなに楽しんではるんですか~?
    あの字の細かいメモに目を通していただいただけでも感謝です。
    七尾の市民まちづくり委員会はうまく行っていないんでしょうか?
    でも、うっちーさんと後輩のMさんのように、アイディアと行動力のある人たちで、
    どんどん街をいじって行けば良いじゃないですか。

    それにしても、うっちーさんのブログのデザイン素晴らしいですね。
    音楽にデザインにと、ここまで多才な方とは存じ上げず、脱帽いたしました。






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