大和言葉と日本のこころ

2004年05月18日

松下政経塾一期生・林秀臣さんの勉強会で「大和言葉」について教えていただきました。
「あ」という音そのものに、口を大きく開いている様子から「開く」という意味が込められているように、
日本語は音それ自体に意味がある、世界でも珍しい言語だということです。
いま、政治家の口から発せられる「音」に、果たしてどれだけの意味が込められているでしょうか?

以下、私の講演メモです。

040517林秀臣さん「大和言葉と日本のこころ」

ギリシャは昔と今とで言語も民族も神話・信仰も連続性がない
ギリシャのパルテノン神殿は廃墟だが、日本の出雲大社は今でも信仰されている
縄文人の血筋をベースに渡来人を混ぜたものが現在の日本人
言語のルーツも縄文の大和言葉

3世代で現在6000ある言語が半分になると予想されている
言語は情報伝達の手段だけでなく、文化そのもの
フィリピンのある言語には、近海の魚の種類・状態に関する情報が多く含まれている
その言語がなくなれば、その地域の魚や環境・生活まで保存されなくなる
エスキモー語には雪をあらわす言葉だけで20種類以上ある
snowの一語しかない英語では、エスキモーの生活は成り立たない
白色をあらわす言葉も複数持っていると言われている
「白一色」の雪景色も、エスキモーにはそれぞれ違う色名のついたカラフルな景色

日本語は親戚関係にあたる言語がない孤立語
韓国語との関連も研究されたが、まったく関連がなかった
主語~修飾語~述語という語順は北方のウラル・アルタイ語系に近い
しかし単語ひとつずつ調べると南方の言語に似ている部分がある
日本語は日本列島で発生し育まれた言語

日本語の特徴は、一音一音が明瞭・母音がはっきり・自然発生音
短歌や俳句が成立するのは一音一音が明瞭に数えられるから
発音した一音そのものに意味が込められている、世界的にも珍しい言語

「あ」は「開く」・「う」は「閉じる」の意味で、口の開き加減そのもの
「さわやか」という言葉が広々としたイメージなのは、すべて母音が「あ」だから
「い」は口の前の方で調音していることから、「行く」「生きる」など前に進む感じ
「お」は口を丸めて発音することから、「大きい」「重い」など大切な感じ
「え」は全ての母音に移行しやすいため、「江」「枝」など分岐する感じ

「か」は破裂音で最も硬く激しい音
「さ」は摩擦音で最もやわらかい音
「な」「ま」は鼻を共鳴させるためまろやかな感じ
「はやし」は木が生えているだけでなく、繁栄・にぎやかなイメージが含まれる

漢字の意味に対応する大和言葉を訓読みとしてあてはめた
豊富な意味をもともと持っている言語だからこそ、漢字に侵食されなかった

西欧人の脳は左脳で言語、右脳で音を処理している
日本人の脳は感嘆音・鳴声・風雨の音なども言語脳(左脳)で処理している
両親が日本人でも、海外で英語に囲まれて育った子どもの脳は「西欧人型」だった
遺伝的な問題ではなく、日本語で育つうちに「日本人型」の脳になる

日本人の人生観の中心は「誠(まこと)」=「真+言」=「信」
中国の論語には「言うは易く、行うは難し」
「知行合一」は「言うは難く、行うは易し」で、言葉に出したら必ず実行する

生き方の基本は「素直」
「素直」の「す」は口の形から「先鋭・突出」、「な」は「調和」を意味する
「他人の言うことを聞く」意味ではなく「調和をリードする」

「すべて」とは何か?
「す」は中心に突出したもの、「へ」は周辺、「て」は中心から伸びたもの
「中心があり、周辺に向けてリンクしているもの」が「すべて」
「部分と全体」を問題にするのではなく「部分と中心とその結びつき」に着目すべき

「いま」とは何か?
「い」は命・生きる、「ま」は真理・時空をあらわす
「自分の生きている今この場所が、過去からつながる時空の中心である」という感覚
「今を生きる」は享楽に生きるのではなく、「すべての過去を背負って生きる」
「人生のすべてが今にある」「やるべきことはやってきた」という人生観

「ひと」とは何か?
「ひ」はエネルギー、「と」は留まるの意味
「エネルギーがひとところに留まったもの」こそが「人」

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